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2008年4月29日 (火)

使い捨て紙おむつ特許侵害訴訟で知財高裁が1億円の支払い判決

http://news.braina.com/2008/0419/judge_20080419_001____.html

「大王製紙(愛媛県)が、自社の紙おむつの特許権を侵害されたとして、王子ネピア(東京都)に約3億円の損害賠償を求めていた訴訟の控訴審判決で、知的財産高裁(飯村敏明裁判長)は4月17日、王子ネピアによる特許権侵害を認めた一審の東京地裁判決の結論を支持、約1億100万円の支払いを命じる判決を下した。問題となった特許1970113号「使い捨て紙おむつ」は、透水性シートと非透水性シートで吸水体をはさむ構造の紙おむつにおいて、ホットメルト薄膜により吸水体を縁の発砲体と離して固定し、尿の前後漏れを防止するもので、1987年に出願され1995年に登録されている。」

平成17年(ワ)第6346号損害賠償等請求事件の高裁判決です。

約1億円を稼ぎ出した特許はどういうものか、興味があって、大王製紙の特許1970113号(特公平6-22511号)「使い捨て紙おむつ」の内容を、IPDLで調べてみました。その請求項1は次のとおりです。

【請求項1】体液吸収体と、透水性トップシートと、非透水性バックシートとを有し、前記透水性トップシートと非透水性バックシートとの間に前記体液吸収体が介在されており、
前記体液吸収体の長手方向縁より外方に延びて前記透水性トップシートと前記非透水性バックシートとで構成されるフラップにおいて腰回り方向に弾性帯を有する使い捨て紙おむつにおいて、
前記弾性帯は弾性伸縮性の発泡シートであり、かつこの発泡シートが前記透水性トップシートと前記非透水性バックシートとの間に介在され、前記体液吸収体の長手方向縁と離間しており、
前記トップシートのバックシートがわ面において、体液吸収体端部上と発泡シート上とに跨がってその両者に固着されるホットメルト薄膜を形成し、
さらに前記離間位置において前記ホットメルト薄膜が前記非透水性バックシートに前記腰回り方向に沿って接合され、体液の前後漏れ防止用シール領域を形成したことを特徴とする使い捨て紙おむつ。

なんだか、難しそうですが、発明のポイントは、アンダーラインを引いた部分です。つまり、この特許の紙おむつは、透水性シート(下側の皮膚に触れる側)と非透水性シート(上側の皮膚に触れない側)という上下の2つのシートの間に発泡シートと吸水体とを介在させたサンドイッチ構造です。そして、発泡シートは、それぞれ前後方向(長手方向)の両端に配置され、吸水体は中央(2つの発泡シートの間)に配置されています。そして、発泡シートと吸水体との間は、離間させて、つまり少し離して、配置しておきます。そして、この離間した空間の上下を覆うように存在する透水性シートと非透水性シートとを、互いに近づけ接触させて、ホットメルト(接着剤)で互いに固定します(この固定した部分が、請求項1にいう「体液の前後漏れ防止用シール領域」となります)。以上が発明の構成です。発明の作用効果は、この固定した部分(「体液の前後漏れ防止用シール領域」)により、吸水体の位置ズレが起こり難くなり、且つ吸水体に吸収された体液が発泡シートの方から漏れることが無くなるので、体液の前後方向の漏れが防止される、ということのようです。

P1970113

上はこの特許の図3ですが、符号の1が非透水性シート、2が透水性シート、3が吸収体、6が発泡シート、7がホットメルト薄膜、9が前後漏れ防止用シール領域です。

以上がポイントとすると、かなり細かい部分の「改良」ということで、基本特許とは言いにくいですね。この事件の第1審判決でも、この特許については、「前後漏れ防止について極めて顕著な効果を奏するものとはいい難い」「進歩性を有するものの、これと類似した構造を有する特許発明が出願時に複数存在していた」などと述べて、このような事情を考えれば、実施料率は比較的低いものとして認定されるべきで、「0.7%をもって相当と認める」、としています(第1審判決の124-125頁)。

基本特許ではないとしても、これで1億円とは、羨ましいですね。内容的にはローテクに入りますので、個人でも出願できるレベルの発明と思います。ただ、かなり細かい部分の改良なので、実際に製造している企業でないと、ここまでは、なかなか考えないでしょうね。

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2008年4月27日 (日)

未来の科学の夢絵画展

もう終わってしまいましたが、発明協会が毎年、小中学生を対象として行っている「未来の科学の夢絵画展」の入賞作品の展示が、東京上野・国立科学博物館で4月20日まであったようです。入賞作品の掲載は、発明協会のホームページでは見つかりませんでした。

僕は、入賞作品の絵を、発明協会からの「月報はつめい」で見ています。

実は、毎年、これを楽しみにしているのです。僕の老人になってからの夢は、NHKの「ようこそ先輩」のように、母校の小学校で発明の授業をしてみたいということです。

今年の入賞作品も、光ってるなと思えるものが沢山ありました。絵は出せない(著作権の問題から)のですが、特に、3点、気に入ったものがありました。

「かさ」 人の磁波に反応してその人の側で空中に浮いていて、持たなくてもさすことができる傘です。こういう、素朴な、一見すると誰でも思い付きそうな(でも、なかなか気づかなくて、目の付け所がポイントになっている)「コロンブスの卵」のような発明、こういうのは個人的に好きですね。

「気分に合わせて動く時計」 時間の進むスピードがその人の心の様子に合わせて変わる時計で、嬉しいときはゆっくりと、悲しいときは早く時間が過ぎていく時計です。何か、子供なりに、楽しいことや悲しいことがあって、そんなことを思ったのかな。

「絵本の中に入れるよズック」 その靴を履いて絵本の上に乗ると、そのお話の中に入ることが出来て、楽しくお話を味わうことが出来る靴です。これは、最近のバーチャル・リアリティの技術を使えば、近いうちに実現できそうですね。

毎年、思うのですが、やっぱり子供は発明の天才ですね。

発明家とは、大人になってもそういう「子供の心」を持ち続けている人なのではないか、と思います。

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2008年4月25日 (金)

Stay Hungry. Stay Foolish.

You Tube で、ふと、アップルCEOのスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業祝賀スピーチ(2005年)を聞いてみました。英語の聞き取りは苦手ですが、最後のところだけは、すごくゆっくり言ってるのでどんなにヘタでも分かります。

Stay Hungry.  Stay Foolish. (ハングリーであれ、バカであれ)

以前の「ドジ力=発明力?」でも書きましたが、僕は、少なくとも、若い頃は、hunglyでfoolishだったと思います。あしたのジョーやがんばれ元気などのボクシング漫画が好きで、ボクシングの試合を見るのも好きで、中学のときは自分で米を入れる袋(家は兼業農家でした)に砂を入れてサンドバックみたいなのを作って、庭の木に吊るして叩いてました(ケンカは弱いので全くしなかった)。ボクシングのハングリー精神が大好きでした。享楽が嫌いでした。今はそうでもない。

バカでもあった。若い頃、酒に酔っ払って、タクシーに乗ってそのまま眠りこけて、タクシーの運ちゃんに道端に放られて(全く覚えてないが、多分)、知らない人の家の玄関の前の道に転がってました。朝、自分で起きました。運が悪ければ、車に轢かれていたでしょう。

それが、今は、おそらく仕事の関係かどうか、「ソツのない、緻密な人間」に一時的にでしょうが、なってしまった。これは、「堕落」というべきなのか。

最近は、全く発明が浮かばないようになってしまいました。でも、当面は、新たな発明はしなくても、今までの(10年くらい前からの)発明の出願(数十件が特許庁に係属中)の特許化、それらの特許をネタにしての企業との交渉や裁判などが忙しいので、発明が出てこないのは、まあ、そちらに集中できるという意味で好都合なのかもしれませんね。

でも、多分、今の僕は「本当の僕」ではない。いつか、また、あの頃に戻らなければならない、「本当の自分」を取り戻さなければ、と思っています。そうすれば、また、あの頃の、本当の自分、発明家人生を再開できるでしょう。

Stay Hungry.  Stay Foolish.

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2008年4月20日 (日)

日常生活の発明(ベッドの発明など)

発明を広い意味で捉えよう、という話です。つまり、発明は、企業の研究所や工場だけで生まれるものではないし、理系の世界だけの話ではないと考えています。

僕は、最近、自分専用のベッドを発明?しました。今までのベッドは普通のスプリング式のマットでしたが、買って数年すると、腰のあたりが凹んでしまい、寝てると腰が痛くなりました。このスプリング式のマットは、体積が大きいし重いし捨てるのも大変です。価格も高いです。もともと、畳に布団の方が好きなので、これと同じような形のベッドに改良してやろう、と思いました。

それで、今のベッドの枠は、マットを外すと下のベニア板が薄くて弱いので、ホームセンターで1cmくらいの厚いベニア板を横70cm、縦65cmくらいに切ってもらい、それを3個、買いました。布団と同じ大きさの板一枚だけにすると持ち運ぶのが大変なので、3つの板に分けたのです。それをベッドの上に並べて敷いて、次に、布団ではなく、布団の下に敷くスポンジ製の3つ折り式のマットを敷いて、その上にシーツを掛けて寝るようにしました。これはすごく快適でした。なぜマットのみで布団を敷かなかったかというと、布団は重いし干したりのメンテナンスが面倒なのですが、マットなら軽いし簡単だからです。

それで、快適に寝てたのですが、数ヶ月くらいして、また腰が痛くなりました。スポンジ式のマットでも、腰の当たりが凹んで弾力がなくなったのです。このマットは、4cmくらいの厚さしかないのも原因かなと思いました。それで、今度は、もう少し上等なマットを買おうと思いました。いろいろ探しましたら、上半分が低反発ウレタンフォームで下半分がスポンジで、全体の厚さは8cmくらいというのがあったので、それを買いました。ソフランという会社のもので、定価は1.5万円でしたが、ちょうどダイエーがその商品の値引きにプラス店舗全体で2割引の日だったので、1万円ちよっとでした。全部が低反発ウレタンフォームのマットも売ってましたが、重すぎるし3つ折りにできませんので、捨てるときに困ります。こちらのものは、わりと軽いし、3つ折りできます。これで寝てみたら、大変快適で、今も続いています。

それから、別の発明?ですが、遠隔の母親とのホットライン専用にPHSを使っていました(最近、ドコモでも家族通話無料が可能になったので、このPHSも役割を終えようとしています)。このPHSはカマボコの板のような形で、各隅と各辺が尖っていて、手で握ると違和感があったり、ズボンのポケットに入れてると隅の尖った部分でポケットの生地が破れたりしてました。それで、ヤスリで、各隅と各辺の尖ったところを全部、削って丸くしました。プラスチック製なので、10分くらいで、簡単に削れました。すると、手にとっても馴染みやすくなり、ポケットに入れてても生地が破れたりしなくなりました。

まあ、こういうのも、発明と言ってもよいのでは、と思います。

20080426b

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2008年4月19日 (土)

発明仲間

僕にも、少ないが発明仲間はいます。でも、それはまた別の機会に。ここでは、発明仲間には、広い意味もあるという話です。

今の僕は自営業で、僕とアシスタントの女性とでやっていますが、このアシスタントの人の中には、僕と合わなくて数ヶ月で辞める人もいれば、数年以上続く人もいます。今まで何人かの人にアシスタントに来て頂いて、当然ですが、いろんな方がいましたが、発明の観点から眺めると、2種類かなという気がしました。

今までのアシスタントの人の中には、広い意味での発明というか工夫をちょくちょくやる人も居て、そういう人は僕と合ってたようです。例えば、炊事場の洗剤の位置がある朝から変わってたり、机の上に箱を置いてそこにガラクタを集めてたりとか、すごく小さなことだけど、「ああ、なるほど!」と思うときは、こちらも「発明仲間だな」と思って、ほんわか嬉しくしくなります。

思えば、僕の父は、地方公務員で根っからの文系でしたが、結構、いろいろな発明というか工夫をしていました。僕はその血筋なのでしょう。父の「最高傑作」と思うのは、テレビのリモコンの全体をサランラップ(透明包装フィルム)で包んでたことです。父は晩酌しながらテレビを見てたので、酒をこぼしてリモコンを濡らしたことがあったのかも知れません。

僕の家族や友人や昔の同僚たちをみても、人間は、しょっちゅう、いろんな発明や工夫をし続けている人と、全くしていない人と、に別れているように思います。人間の種類が違うような気さえ、してしまいます。

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2008年4月12日 (土)

ドジ力=発明力?

自分の経験からは、雑でドジで抜けてる面があればあるほど、また、周りからアイツは何をするか分からんから大事な仕事は任せられないと見られているときほど、発明がどんどん湧いてくるということがあります。

昔の僕はそうでした。子供の頃から。付き合う友達は皆、優等生とは正反対の似たもの同士という感じで、中学校時代は、掃除はさぼるわ、遅刻はするわ、放課後の合唱練習もさぼるわ、雑でズボラでチャランポランで無責任という感じで過ごしていた。成績はまあまあだったが、僕がクラス委員なんてとんでもないという感じだった。僕も含めて親しい奴らは皆、拘束されるのが嫌で「学校嫌い」という感じだけど、気の合う仲間が居たから、結構、楽しかった。

このように、中学時代の友人たちは、皆、適当で良い加減な奴らばかりだったけど、あいつらとは不思議とすごく気が合った。高校からは、エリートっぽい人たちが進む進学校に行ってしまったので、最初の頃は、なかなか気の会うヤツに出会えなくて苦労した。徐々に出会ったが。

その傾向は、20歳代でサラリーマンをしてた頃も続いてて、上司や同僚は「アイツはドジで抜けてる、何をするか分からんから大事な仕事は任せられない(仕事はある程度はできるのだが)」と思われてたと思う。上司と衝突することも多かった。

また、30歳代で独立してからも、しばらくは、この性格が少しは続いていた。しかし、独立して、やはり「顧客の信頼」を得なければ、とやってるうちに、この性格は徐々に無くなっていった。今の僕の顧客はみな、僕のことを「ミスをしない、ソツのないタイプ」の人間だと思っていると思う。

このように変わったのは、独立したためだけでなく、時代が、「ミスが致命傷になる、デジタル時代」になったためもあると思う。アナログ時代とは違って、パソコンで金額の数字を一桁違って入力しただけで会社が倒産することもある時代は、「ミスをしない」性格にならなければ、やっていけない。進化論よろしく、僕も、そういう時代の変化に適応したのだろう。また、「ソツのない」の性格にしても、取引先にだまされて仕事や生活を失わないためには、顧客から仕事をもらうためには、必要なことだ。僕のことを「根っからのエリート」だと見ている顧客もいるのかもしれない。

しかし、困ったことに、そういう性格やタイプになってから、発明を思い付かなくなった。昔なら、発明がどんどんと自然に湧いてくる感じだったのが、無くなった。

大発明をするためには、「飛躍」できる人(「見る前に跳べ」というタイプ)、世間体などを捨てて「捨て身」になれる人、「カオス」(無秩序・混沌)と「熱狂」(狂気)を内部に抱えてて「不安定」な人、である必要があると思う。

要するに、発明は、ハチャメチャで不安定な人生から生まれるもので、秩序ある安定した人生からは生まれないものなのだろう。

今の僕は「秩序を大事にする安定した常識人で、つまらない大人」なのだろう。だから、発明が出なくなった。

昔の性格に戻るべきなのか、戻れるのか? どうすべきか? 今の僕の課題である。

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2008年4月10日 (木)

発明のコツは、問題意識と面倒臭いという気持ち

発明のコツの第1は、常に問題意識を持っていることだろう。第2は、いろんな場面で面倒臭いなぁと思うことだ。

http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=143614 

「和歌山県白浜町のソフトウエア開発企業「SRI」に勤務する上田朋葉さんという女性(22)が2年間で、ソフトウエア開発や日常生活に関係する特許につながる発明を22件生み出した。」

この記事の上田さんによると、「面倒だと思うことが発案につながる。常に問題意識を持つ」ことが大切ということです。

発明する人は、皆、同じだなと思いました。

それにしても、この人は、2年間で、22件の「特許」(「出願」ではない!)となる発明を生み出したのだから、すごいですね。一般的に出願が特許になる「打率」は3~4割くらいなので、「特許」が22件なら、「出願」の数はどのくらいかと思って、IPDLで調べてみましたら、ほぼ「出願数=特許数」でした。ということは、約95%くらいの確率で特許になっている! 驚異的な打率ですね(分割出願も何件か含まれているようですが)。

こういう人は、会社を辞めて、個人発明家として独立した方がよいのではないかと思います。

22歳と若いからできることでもあるのでしょう。

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2008年4月 6日 (日)

個人発明家のビジネスモデル(2)

昨日、個人発明家のビジネスモデルについて書いた続きです。

第2のビジネスモデルについては、「紙とエンピツによるアイデアだけで、試作品も作らない発明で儲けようとするのは邪道だ」という意見もあると思います。これは、米国などで、パテント・トロール(個人などから特許を買い取って大企業を相手に訴訟などをしてライセンス料をふんだくる企業)に対して、よく言われることです。日本でも、パテント・トロールが跋扈すると特許法の目的とする産業の発達に反するという意見があります。

そこで、このような意見に対して、僕の考えを述べます。

昨日述べた第1のビジネスモデルは、よく、テレビなどでも、個人の趣味の延長として、「微笑ましい」という感じで紹介されています。これに対して、第2のビジネスモデルは、大企業などから批判があります。それは、第2のビジネスモデルは大企業にとって都合が悪いという事情もあると思います。

しかし、第1のビジネスモデルも第2のビジネスモデルも、どちらも、発明をすることそのものは全く同じなのです。違うのは、(a)発明が属する技術分野、(b)発明を収益化するための方法、の2つだけです。

(a)発明の属する技術分野が違うのは、単に、発明家が興味や関心を持っている分野が、ニッチな分野(第1のビジネスモデル)か大企業と競合するメジャーな分野(第2のビジネスモデル)か、という違いから生じるものに過ぎません。しかも、発明には偶然性が大きく左右しますので、どういう分野の発明を思いつくかは、実際に、発明が生まれてみなければ、分かりません。子供だって、スポーツが得意な子か文学が好きな子かなどは、実際に生まれてみなければ分かりませんが、それと同じです。

実際、僕の発明でも、80%はメジャーな分野ですが、20%はニッチな分野です。だから、当面は第2のビジネスモデルで行こうと思いますが、資金がたまったら、ニッチな分野の発明の特許を利用して、自分で商品化・事業化するのも面白いな、と思っています。

また、(b)発明を収益化する方法が違うのは、偶然性などに基づいて生まれ落ちた発明を収益化させるためには、第1のビジネスモデルでいくか第2のビジネスモデルでいくか、どちらがより効率的かという問題に過ぎませんし、それはひとえに、その発明の特性によって決まるものです。子供でも、スポーツの分野が得意な子とか読書が好きな子とか、いろんな子がいて、親は、そういう一人一人の子供の個性をみながら、どの方向に育ててやればいいかな、と考えると思いますが、それと同じです。

以上より、第1のビジネスモデルか第2のビジネスモデルかは、発明することからみれば、本質的な違いではないと思います。

しかし、個人発明家が経済的に成功しようと思う場合は、第1のビジネスモデルか第2のビジネスモデルかを常に意識できるかどうかで、結果が大きく違ってくると思います。

つまり、個人発明家は、自分の興味や自分が得意な分野などを見極めて、その分野を中心に研究して発明をすること、そして、発明が生まれたら、その発明の特性(ニッチな分野かメジャーな分野か、自分で製造できるものかどうかなど)を見て、その発明に適した収益化の方法は何か、つまり第1のビジネスモデルでいくか第2のビジネスモデルていくかを決める、というのが経済的に成功するための道だと思います。

つまり、第1のビジネスモデルと第2のビジネスモデルとは、発明を収益化させるために必要となる知識・ノウハウなどが大きく異なります。

だから、実際のところは、個人発明家は、自分の向き不向き、すなわち、経営者が向いているかどうかなどをも考えて、自分が第1と第2のビジネスモデルのどちらが向いているかを考えて、自分の発明をニッチ分野を主体にするか、メジャーな分野を主体にするかを考えてもよいと思います。つまり、予め、自分自身の個性や得意・不得意などを考えて、第1のビジネスモデルと第2のビジネスモデルのどちらが自分に向いているかを考えて、どちらかのビジネスモデルに適した技術分野の研究・発明をしていく、というのが成功するコツではないかと思います(ただ、前述のように、予めそう考えてても、実際に生まれる発明は、自分が狙った技術分野ではなかったりすることは、多いことです)。

「大企業へのライセンスを目指す」とは、大企業と発明分野が競合している発明をするという意味です。「大企業へのライセンスを目指す発明家」にとっては、自分の発明を世の中で商品化する道として、主として大企業へのライセンスを通じて大企業に商品化してもらうことが効率的だといえますが、資金が貯まれば自分で事業化することも当然に在りえます。その意味で、「大企業へのライセンスを目指す発明家」は、通常のパテントトロールとは違うと思います。

この個人発明家のビジネスモデルについは、また、別の機会に述べたいと思います。

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2008年4月 5日 (土)

個人発明家のビジネスモデル(1)

個人発明家には、自分の「発明」をどのように収益化させるかに関して、大きく2つの戦略、ビジネスモデルがあると思います。

第1のビジネスモデルは、自分の発明を自分で商品化・事業化するという事業家・ベンチャーを目指すものです(「エジソン型」といえます)。日本では、多くの個人発明家はこれを目指していると思います。婦人の方々の「なるほど展」のように自分の自作の商品を展示・販売するのがこのモデルです。

このタイプの成功例は、外国では、エジソン(今の米ゼネラル・エレクトリック社の前身の会社を設立)、グラハム・ベル(電話機を発明して電話会社を経営)、独のベンツとダイムラー(いずれも自動車を発明)、フォード(自動車の分業による大量生産方式を発明)、英国のダイソン(サイクロン式掃除機を発明して事業化)などがいて、日本でも、即席ラーメンを発明した日清食品の創業者の安藤百福さんなど、多くいます。

しかし、こういう人は、「発明の才能」と「経営の才能」との両方を併せ持ってる訳で、ある意味、スーパーマンですよね。こういう人は、めったに居ないでしょう。

現実的には、自分は発明だけを担当し、経営は他人に任せるというやり方の方がうまく行くでしょうが、発明家にはプライドが高い人が多いので自分でやりたがるとか、他人に任せたいが適当な人がいないなどから、このパターンで大成功したという例は少ないと思います。

しかし、大成功=大企業に成長ということでなく、中くらいの成功=中小企業としてやっていくというのなら、かなり成功率は高いのかもしれません。この方向で成功するための条件としては、ニッチな分野で事業化していく、ということではないかと思います。つまり、大企業が踏み込んでこないようなマイナーでニッチな技術分野、しかも自分で製造できるような分野で発明をして特許を取っていくというのがポイントではないかと思います。ここで、「自分で製造できるような分野」とは、例えばテレビや自動車の発明をしても、自分で製造販売できませんから、この第1のビジネスモデルは使えません。テレビや自動車に後付けする外装品の発明なら、自分で製造販売できるから、この条件を満たします。

第2のビジネスモデルは、自分で発明をしたものを、特許出願して特許を取得し、事業化は企業(特に大企業)に任せて、ライセンス料収入の取得を目指すというものです(米国の成功した個人発明家にちなんで「レメルソン型」といえます)。この方向の成功例は、日本ではまだ極めて少ないと思います。

このタイプの成功例は、主に米国に多く居ます。レメルソン特許と言われる画像処理関連の特許などでトヨタなど世界中の多数の大企業と交渉・裁判を繰り広げて数百億円かそれ以上の賠償金を獲得したレメルソン、マイコンの発明者としての名誉を裁判などで勝ち取ったハイアット、間欠ワイパーの特許でフォードなどから数十億円の賠償金を獲得したカーンズ、最近では、ブラウザーのプラグイン関連の特許侵害でマイクロソフトと訴訟をして現在和解交渉中のドイル氏(Eolas社)、その他、多くのパテント・トロール(特許の怪物=個人などから特許を買い取って大企業を訴えて賠償金をふんだくる企業)を含めると、米国では、成功例は山ほどあります。

何故、米国でこれほどの成功例があるのか。それは、米国の特殊事情があると思います。すなわち、米国では、エジソン、ベル、ライト兄弟などのように個人発明家の発明から大きな産業が育ったという歴史や西部劇のように自立した個人を尊敬する土壌があるため、昔から個人発明家を尊重する雰囲気や世論があること、レメルソン財団などのように個人発明家やその団体は多額の資産を有しておりロビー活動なども展開するなど政治的社会的にかなりの力をもっていること、企業より個人に有利な評定を出す傾向のある陪審員制度があること、特許を故意で侵害した場合における3倍額賠償の規定があること、着手金なしの成功報酬のみで動いてくれる弁護士がいること(日本ではまずいないでしょう)、成功報酬弁護士と似た機能を果たすものとしてパテント・トロール企業が多いこと(シリコンバレーのベンチャーなどでも、ベンチャーの出口としてIPO(株式公開)ではなくグーグルなどに買収されることを目標とすることがありますが、個人発明家でも、パテント・トロールに特許を買い取ってもらうことを目標とすることもあってよいと思います)、などです。

これに対して、日本では、成功例は、まだ少ないというか、ほとんど無いでしょう。パテント・トロールを一つの業務とする会社として、名古屋のADCテクノロジーがあり、ある程度の収益はあるようです(報道による)。しかし、このADCテクノロジーは、以前、2画面ケータイ特許でNTTドコモなどを訴えましたが敗訴しています。他に、松下昭さんという学者さんが、電子マネー関連の特許の侵害でソニーとJR東日本を相手に約20億円の損害賠償を請求する訴訟をされています(報道による)が、これも、報道を見る限りでは楽観できない状況と思われます。

米国の多くの成功例をみますと、多数の大企業を相手に契約交渉や裁判をする、というのがポイントのようです。少数の中小企業を相手に契約や裁判をしても、得るものは少ないからです。

つまり、大企業が多数の特許出願を行っている技術分野(例えば、テレビ、パソコン、自動車、電子部品、冷蔵庫などの家電製品、インターネットを使用したサービスなど)を選んで特許出願をする、というのがポイントです。自分で製造する必要はないので、その意味では、ほとんど紙とエンピツで作れる発明です。米国のレメルソンの発明も、ほとんど、このような「試作品なしの発明」だったそうです。

このように、大企業と同じ技術分野に分け入って、その中で、大企業の多数の研究者よりも早く発明・特許出願して、大企業が使わざるを得ないような基本的な特許を取得する、という獣道(けものみち)を通ることが必要です。つまり、「大企業の多数の研究者に競り勝てる発明の才能」が必要だということです。

また、この第2のビジネスモデルで成功するための条件は、上記の「発明の才能」だけではありません。こちらは、第1のように「経営の才能」は必要ないですが、特許出願、ライセンス契約交渉、特許侵害訴訟などが避けて通れませんので、特許法などの法律の知識とノウハウが必要になります。これらを弁理士と弁護士に任せることも考えられます。しかし、全部任せてたら、費用がバカ高なので、成功する前に破産するでしょうから、十分な資金を手にするまでは、自分で勉強して自分でやるというのが原則でしょう。

米国のレメルソン(故人)も、数億円?かどうかは知りませんが、ある程度の資金をためるまでは、特許出願も契約交渉も、全部、自分一人でやっていたようです。

このように、2つのビジネルモデルは、全く違います。ですから、個人発明家は、まず、自分の興味、タイプ、能力を考えて、どちらを採るのかを最初に決めた方がよい、その方が成功への近道だと思います。そうすれば、自分がどのような分野で発明をすべきか、どのようにして発明を収益化すべきかについて、目標と戦略が早い段階で明確になります。

僕自身は、昔から、ニッチな分野よりも、テレビや自動車などの大企業が研究開発しているメジャーな分野の発明に、より興味がありました。だから、僕自身は、自分の興味のある分野、自分のタイプ・能力などから考えて、第2のビジネスモデル(契約交渉と訴訟)で成功することを目指しているのです。そのために、この13年間、静かに暮らしながら、発明と特許出願に明け暮れてきました。そして、特許が十数件、特許出願が数十件と、ある程度、タマ数が揃ってきたので、そろそろ、仕掛けていこうか、と思ったのです。

なお、上記で、日本では第2のビジネスモデルの成功例がほとんど無いと書きましたが、実は、「職務発明」訴訟で多額の賠償金を得た「元の企業内研究者・発明者」の人たちは、広い意味では、この第2のビジネスモデルの成功例に含めてもよいかもしれません。

特に、青色LEDを世界で始めて実用化させた中村修二さんなどは、日亜化学という会社に勤めていたとは言っても、その当時から社長の命令などを無視して自分で勝手に研究していた(本人の著作の「怒りのブレークスルー」による)そうなので、広い意味では「個人発明家」と似た状況で発明したと言えます(ただ、実験設備などは数億円かかっているようで、それを考えると純粋な個人とは言いがたいかも)。そして、中村修二さんが多額の収入を得た方法は、契約交渉と裁判という第2のビジネスモデルそのものです。

なお、上記の「大企業へのライセンスを目指す発明家」とは、大企業と発明分野が競合している発明家という意味です。「大企業へのライセンス型発明家」にとっては、自分の発明を世の中で商品化する道として、主として大企業へのライセンスを通じて大企業に商品化してもらうことが効率的だといえますが、資金が貯まれば自分で事業化することも当然に在りえます。その意味でも、「大企業へのライセンス型発明家」は、通常のパテント・トロールとは違うと思います。

この、個人発明家のビジネスモデルについては、次回も触れたいと思います。

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2008年4月 4日 (金)

加圧トレーニングの特許

一昨日(2008/4/2)の日経新聞夕刊に、手足にベルトを巻き付けて運動すると、短時間の軽い運動でも激しい運動をしたようになり、筋肉増強効果が数倍になるという「加圧トレーニング」が紹介されていました。ベルトを巻きつけることで毛細血管が広がって疲労物質の血中濃度が上昇し、慌てた体が成長ホルモンなどを盛んに分泌して筋肉が増強されるという仮説のようです。プロの野球選手などには愛好者が多いそうです。

考案者は東京都のSさんという方で、加圧トレーニング方法についての特許を取得していると記事にでていました。それで、IPDL(特許電子図書館)で探してみると、ありました!
特許第2670421号で、その特許請求の範囲は次のようなものです。

【請求項1】 筋肉に締めつけ力を付与するための緊締具を筋肉の所定部位に巻付け、その緊締具の周の長さを減少させ、筋肉に負荷を与えることにより筋肉に疲労を生じさせ、もって筋肉の増大を図る筋肉トレーニング方法であって、筋肉に疲労を生じさせるために筋肉に与える負荷が、筋肉に流れる血流を阻害するものである筋力トレーニング方法。

この方は、この加圧トレーニングの関係だけで、スポーツジムを経営する会社などの名義で既に十数件の特許を出願され、数件の特許を取得されています。すごいです。

上記の特許は、基本特許のように思われます。上記の赤色で示した部分を満たせば、それだけで特許侵害になってしまいますので、(もし無断でやれば)加圧トレーニングのかなりの部分が、この特許を侵害してしまうのではないでしょうか。

いずれにせよ、他の特許もありますし、同業他社は要注意でしょう。

P1000004

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2008年4月 3日 (木)

発明を武器に世の中に切り込む

今まで、発明は趣味で金を使いながらやってきました。それで、この15年くらいは、つつましく、静かに固く大人しい人生を送ってきました。でないと、発明がそうとうの金を使うので、生活できません。

でも、この15年くらいで、特許出願が数十件以上となって、そろそろ、これらの発明を武器に、世の中に挑んでみたい、「人生の冒険」「日常生活の冒険」(大江健三郎)に乗り出してみたい、と思うようになりました。

僕の挑戦が、ただのドン・キホーテで終わるのか、少しは世の中に足跡か爪跡を残すことができるのか、どちらにせよ、その記録を残しておきたいと思い、遅ればせながらブログを始めました。

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2008年4月 2日 (水)

軍事ロボット

米国の軍事ロボットの映像らしいですが、こういうロボットに殺されるのって、どんな感じでしょうか。誰かがロボット憲章というのを作って、ロボットは人を傷付けてはならないというのを入れたと聞いたことがありますが。

人が死ぬのは、①人間の故意・過失による(橋の工事がいい加減だったので橋が落ちて死ぬなども人災)、②病気や天災などの自然による(動物に殺される場合は、野生の動物ならこれでしょうし、ペットなら①の人災。橋の上から滑り落ちて死ぬのは自分の過失とすると①だし自然界の引力の法則のせいとすると②ですか)、の2つだったのが、③ロボットにより殺される、というのが追加されるのでしょう。

ロボットにより殺されるのも、広くは①人間の故意・過失ということになるでしょうか。しかし、人間や自然に殺されるのならともかく、ロボットに殺されて死ぬのは絶対に嫌だ、と思います。それは単に「慣れ」の問題でしょうか。

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