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2008年9月 7日 (日)

発明の種類と時間軸

futureeyeの未来社会というブログの著者(未来予測をして予測した未来に問題となることを予測してそれを解決するための発明をされているらしい)があるところで書いておられた文章を見て思いついたことを書きます。

僕は、以前に書いた記事で、発明には、必ずニーズはあるが競争が激しいので基本特許は取り難い「駅前のラーメン屋」タイプの発明と、ニッチの分野で誰も事業化しようと考えてないが競争がないので基本特許は取りやすい「山奥の料亭」タイプの発明との2種類がある、そして、僕は前者を狙っていると書いた(個人発明家のビジネスモデルも参照)。

ただ、この「駅前」か「山奥」かという発明の種類に、時間軸の視点(実用化・事業化の時期が「近未来」か「遠い未来」か)をも入れて考えると、より戦略的な発明活動が可能になる。

つまり、特許期間は出願日から20年なので、とりあえず、発明の実用化が1-10年以内と予想されるか11-18年以内と予想されるかの2つに区別して考えるのだ。19年後に実用化されるような発明は、実用化される頃には特許期間がほぼ切れているから、出願する意味はなく、学会の発表やブログで発表するくらいにしておいた方がよい。なお、この実用化の時期は、コストや性能などの技術的な問題だけでなく世の中の流れなどの社会的なニーズも考慮に入れる必要がある。

例えば、上側が「山奥」で下側が「駅前」、左側が「近未来」で右側が「遠い未来」のマトリクスを考えてみよう。

1.このマトリクスの中で、左下の領域、つまり「駅前」かつ「近未来(実用化が1-10年以内)」の領域をターゲットに発明をする場合は、「駅前」という大きな市場だから、もし基本特許が取れれば、自分で事業をやるにしてもライセンス収入を狙うにしても一攫千金が可能だろう。しかし、この領域は大企業を含めて競争が激しいので基本特許を取ることは極めて難しい。ただ、「近未来」の場合は技術の方向性は発明の時点である程度分かるので、基本特許でなく周辺特許・応用特許でもよいと思う。周辺特許・応用特許でも、技術の方向性がマッチしていれば、製品化に不可欠な必須特許となり得るからだ。

僕は、今は、この領域を狙っている。だから、発明してもIPDLで検索してみると、大体、大企業などが既に出願しているので、実際の出願に至ることは極めて少ない。

2.次に、右下の領域、つまり「駅前」かつ「遠い未来(実用化が10-18年以内)」の領域をターゲットに発明をする場合は、市場性は大きいし、競争もそれほど激しくない。なぜなら、10-18年後の未来はまだ混沌としており、誰にも分からないので、大企業もまだ出願していないことが少なくない。だから、個人でも基本特許を取れる可能性はあり、狙い目であることは間違いない。

この領域を狙う場合の発明手法は、未来予測をして、予測した未来に問題となることを予測して、それを解決するための発明をする、という手法だ。

実は、僕はこの手法で、約10年前から数年前まで、発明をしてきた。今は、その頃に出願してた多くの発明について、特許庁から拒絶理由通知や拒絶査定が次々と来てて、その対応に忙殺されている。

だけど、最近は、余りこの手法は使わなくなった。何故か。自分が年を取って、自分が確実に活動できると思える時間が少なくなってきたからだ。今51歳だが、18年後に実用化されそうな発明をしても、その頃、僕は69歳、特許訴訟やライセンス交渉などが十分にできるかどうか、分からない。だから、最近は、同じ「駅前」を狙いながらも、「遠い未来」よりも「近未来」の方に、ターゲット領域をシフトさせた。その分、発明しても空振り(既に先行技術があるので出願しないこと)が多くなった。

ちなみに、この領域を狙う場合は、基本特許などの広い特許でないと意味がないと思う。技術的に細かいところで周辺特許・応用特許を取っても、その技術の球筋に実際の製品が当たってくれる可能性は少ないからだ(「近未来」と違う点だ)。

3.次に、左上の領域、つまり「山奥」かつ「近未来」の領域を狙う場合、「山奥」なので競争は少なく、基本特許を取ることは容易だが、事業化は誰もしないので自分でやる必要がある。ニッチ分野だが、実際に事業化してみれば、そこそこのニーズはあり、ある程度儲かるという場合もあると思う。

4.最後に、右上の領域、つまり「山奥」かつ「遠い未来」の領域を狙う場合。しかし、このような領域は、事業化するとしても「遠い未来」なのでどうなるか分からない、だから、そもそも特許出願をする意味はあまりないと思う。空想のまま(空想発明として)おいておくのがよいのではないだろうか(SF小説のネタにはなる?)。

なお、「大企業へのライセンスを目指す発明家」とは、大企業と発明分野が競合している発明家という意味だ。「大企業へのライセンス型発明家」にとっては、自分の発明を世の中で商品化する道として、主として大企業へのライセンスを通じて大企業に商品化してもらうことが効率的だといえるが、資金が貯まれば自分で事業化することも当然に在りえる。その意味でも、「大企業へのライセンス型発明家」は、通常のパテント・トロールとは違うと思う。

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