« 「かんぽの宿」疑惑の法令違反と株主代表訴訟の可能性 | トップページ | 特許侵害訴訟の費用(予想) »

2009年2月14日 (土)

特許法改正とパテントトロール対策

特許庁が特許制度研究会を立ち上げた記事をみると、パテントトロール対策を最大の目玉としているようだ。でも、米国と違って、日本ではまだパテントトロールが大企業から大金を収奪したという事例は全くないのに、心配性というか準備が早いというか・・・よっぽど予算が余っているのかな(特許庁は独立会計なので)。

このパテントトロールだが、特許庁は、個人や中小企業から発明・特許を安く買い漁ってそれらをネタに大企業を恫喝して大金を獲得するという場合を問題としているようだ。

しかし、日本では、逆の側面の方が問題が大きいと思う。つまり、個人や中小企業の特許を大企業が侵害しているので個人や中小企業が大企業と交渉したいと希望しても大企業は相手にしてくれない、弁護士に頼む費用もない、泣き寝入りしかないという場合が日本では多い。このような場合は、泣き寝入りするしかない個人や中小企業にとって、パテントトロールは白馬の騎士となりえるのでは? 

パテントトロールの出現を阻止しようとする対策は、海賊品対策と同様に、大企業のニーズに応えるものだ。

「海賊品(デッドコピー)対策」(日本と海外での)は、特許庁・発明協会・ジェトロなどが協調して立ち上げているが、これは事実上、大企業・有名企業のニーズに応えるものだ。

なぜなら、「海賊品(デッドコピー)」は大企業・有名企業のブランドやヒット商品の外観にただ乗りするものであり、被害者は大企業・有名企業しかないからだ。ブランドのない中小企業の商品の外観にただ乗りしても経済的意味はない(まあ中には、しょぼいヒット?商品のデッドコピーで中小企業同士が不正競争法違反などで争っていることもあるが)。

確かに、グローバル市場では国内の大企業といえど苦戦しているので、特許庁などが側面支援することは悪いことではない。しかし、それだけでは片手落ちではないだろうか?

個人や中小企業が自分の特許を大企業に侵害されてるのに泣き寝入りしている例は多いし、運良く大企業と契約できた場合でも交渉の駆け引きに踊らされて不利な契約内容を締結させられる例は少なくない。これは弱肉強食の世界なら仕方ないといえばそれまでだが、しかし、「個人や中小企業が特許を大企業に侵害されたまま泣き寝入り」というのは「法の支配」(正義)が実現されていないということだ。

特許侵害訴訟で弁護士に依頼しようとしても、現状の知財弁護士は着手金400以上を要求するのが相場だし、訴訟が開始された後も日当などで毎月数万円以上かかる、大企業が相手だと控訴審まで行くことが多いのでそのときにまた弁護士を代えるかどうかにもよるがかなりの費用がかかる。成功報酬は除いて考えても(成功報酬は勝ったときにその賠償金から払えばよいとして)、印紙代も含めれば1千万円は超えるだろう(裁判所に関係する費用だけで、特許庁に関係する費用は含めないで計算)。しかも、今の特許侵害訴訟は原告の敗訴率8割(しかも敗訴したとき特許も無効になってしまう率は全敗訴件数の中の約6割)で、個人や中小企業には負担もリスクも大きすぎる。

特許庁は、豊富な財政で海賊品対策やパテントトロール対策を行って大企業のニーズに税金を使って応えようとするのなら、同じように中小企業や個人のニーズにも応えてほしい。

特に、中小企業や個人の特許を大企業が侵害しており交渉にも応じてくれないとき、中小企業や個人の支援をしてくれるような組織を用意することは社会的に有意義だと思う。費用の点で弁護士に依頼できないときの弁護士の代わりになり得るような組織だ。

消費者と企業との間でのトラブルで消費者を支援する国民生活センターがあるが、ああいうのと似たもので、中小企業や個人を支援して大企業との交渉などを手助けしてくれるというものだ。是非検討して欲しい。まあ、今度、パブリックコメントがあれば、意見を出してみよう。

|

« 「かんぽの宿」疑惑の法令違反と株主代表訴訟の可能性 | トップページ | 特許侵害訴訟の費用(予想) »

特許法(の改正)」カテゴリの記事

コメント

私は個人に毛が生えた程度の小企業主です。
10年前の特許で、地道にやってきました。
が、ここ数年類似品が出回り始めました。
そのほとんどは、国家的大企業ばかりです。

彼らは 知らん振りを決め込んでいます。

ブログを読んで、同じ思いに共感しました。

投稿: | 2009年12月21日 (月) 20時07分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/510700/44057268

この記事へのトラックバック一覧です: 特許法改正とパテントトロール対策:

« 「かんぽの宿」疑惑の法令違反と株主代表訴訟の可能性 | トップページ | 特許侵害訴訟の費用(予想) »