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2009年3月25日 (水)

今回は法解釈の勘違い・勉強不足から始まった検察の暴走だった?

昨日に引き続いて、日経ビジネスオンラインに、今回は小沢秘書の起訴を受けての元検事・郷原信郎弁護士の2009/4/25付け記事「検察は説明責任を果たしたか」が載っている。

その中に、次のような記述がある。

「・・・(検察側の)誤算というのは小沢氏側の対応の見誤りだ。秘書の事件で強制捜査に入り、小沢氏に対する批判が強まれば小沢氏は辞職するだろう。そうすれば政治力がなくなり、秘書も事実を認めて大した問題にはならないだろう。検察がこういった甘い見通しを持っていたのではないかということだ。そうだとすると、それなりの目算がなければならないが、そのことを教えてくれるのが、3月8日付の産経新聞の記事だ。ここで述べられているのは、監督責任の問題だ。

 これは、陸山会代表としての小沢氏の「監督責任」に関して、「捜査関係者」として、「特捜部は監督責任についても調べを進めるもようで起訴されれば衆院議員を失職する可能性も」という内容だった。」

「・・・しかし、代表者の責任は「選任及び監督」に過失があった場合で、ダミーの会計責任者を選任したような場合でなければ適用できない。土屋氏の場合と同様に代表者の監督責任による立件をちらつかせて小沢氏を辞任に追い込めると判断していたとすると重大な基本的ミスだ。

 同じ8日のテレビ番組や新聞のインタビューで私が、監督責任だけでは代表者の立件はできないことを指摘したところ、小沢代表聴取の報道は急速に鎮静化し、その後、「小沢氏聴取見送り」が一斉に報じられた。 」

これを見ると、郷原弁護士の見立てでは、検察は、おそらく、政治資金規正法の基本的な解釈を誤り、会計責任者(秘書)の「選任又は監督」(選任と監督のいずれか一方のみ)に過失があれば小沢一郎氏を有罪にして議員失職まで持って行けると法解釈を誤解して、捜査に突っ走ったのではないか、ということだ。

なぜそう見るのかというと、検索リークを受けて書かれたと思われる3月8日付の産経新聞の記事の中で、小沢氏は「監督」(「選任及び監督」ではない)についての責任だけで有罪となって失職する可能性も、と記載されているので、少なくともこの産経新聞に検察リークをした検察官は、小沢氏を「監督」の責任だけで有罪として議員失職させられると勘違い(法解釈の誤解)をしていたのではないか、ということだ(文末に、3/8付けの産経新聞の一部を引用しておく)。

正しい解釈としては、会計責任者(秘書)の「選任及び監督」に過失がなければ小沢氏を有罪として議員失職させることはできないのに、その解釈を誤って、「監督」だけの過失で有罪として議員辞職までもっていけると勘違いしていたのではないか、ということだ。

そして、そのこと(小沢氏が有罪となるのは「選任及び監督」の双方に過失がある場合だけ)を郷原弁護士が3/8のテレビや新聞で指摘した後は、「同じ8日のテレビ番組や新聞のインタビューで私が、監督責任だけでは代表者の立件はできないことを指摘したところ、小沢代表聴取の報道は急速に鎮静化し、その後、「小沢氏聴取見送り」が一斉に報じられた。」ということだ。

つまり、郷原弁護士が3/8のテレビや新聞で指摘するまでは、検察はこの法解釈の勘違いに気が付かなかった可能性が高い、ということだ。

おそらく、郷原弁護士は元検事なので、検察内部の知り合いからの「逆リーク」などをも踏まえて、今回の記事を書いているのだろうから、郷原弁護士の見立ての真実性はかなり高いだろうと思う。

多分、検察は、前述のような政治資金規正法の法解釈の勘違い・勉強不足から、今回、こういう政治的混乱を引き起こし、地方から多数の検事を動員して多額の税金を使いまくった、ということをやってのけたのだろう。

それなのに、そのことについての国民への説明などは全くしない、というのが今の検察の現状、ということだ。

追記:今日のNHKニュースなどで、小沢秘書が最近になって「西松建設からの献金だと認識していたと供述していた」という記事が出ている。

しかし、もし秘書がこのような「供述」していたとしても、直ちに有罪とは限らないと思う。

なぜなら、政治資金規正法違反の罪は、元検事の郷原弁護士も言っているように、①政治団体が「実体のないペーパー」であったこと、②そのことを認識していたこと、の2つが必要だ。

そして本件では、②の前に、そもそも①が極めて微妙だ。この2つの政治団体は、代表者が居て、年に数回は宴会施設を借りて10人くらいが出席して実際にパーティもやってたんだから、「実体のないペーパー」とはいえないから①の事実はない、という可能性があると思う(参考)。

そして、②の問題として、秘書が、そういう「実体のないペーパーとは言えない(ある程度の実体がある)2つの政治団体のバックには西松建設が居るのかなということは知っていました」と仮に”自白”したとしても、それは、そもそも「違法ではない適法な事実」(上記①に該当しない事実)を認識してましたと”自白”したに過ぎないことになるから、少なくとも法的には問題ないと思う。

※郷原弁護士が、検察は政治資金規正法の基本的な解釈を誤り、会計責任者(秘書)の「選任又は監督」(選任と監督のいずれか一方のみ)に過失があれば小沢一郎氏を有罪にして議員失職まで持って行けると法解釈を誤解して捜査に突っ走ったのではないかという見立てをした根拠となった3/8付けの産経新聞の一部は、次のとおり。

「小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部が小沢氏本人にも規正法違反の疑いがあるとみていることが7日、捜査関係者の話で分かった。規正法は政治団体の代表者に、会計責任者への監督責任について罰則を設けており、これに違反する疑いがある。特捜部は政治資金収支報告書の虚偽記載への関与の有無の解明と並行して、監督責任についても調べを進めるもようで、監督ミスが認定され、起訴された場合には、小沢氏は最終的に衆院議員を失職する可能性も出てくる。小沢氏への参考人聴取でも、監督責任について確認するとみられる。(中略)
 規正法は、政治団体の代表者が、会計責任者の選任と監督について相当の注意を怠っていた場合、50万円以下の罰金を科すと規定している。起訴されて規正法違反罪で罰金刑になると、裁判官の判断によっては公民権が停止され、被選挙権を失う。国会法の109条は、現職の衆院議員が衆院議員選挙の被選挙権を失った場合、自動的に失職すると規定している。」

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