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2009年3月21日 (土)

米国での集団訴訟とベルヌ条約の効力を組み合せたグーグルの知財戦略

2009/2/26付けで、「グーグルブック検索に関する米国集団訴訟の和解が日本の著作権者にも影響する」という記事がいろんなサイトで掲載されていた(例えば、この「知財情報局」の記事)。以下に、この記事を一部引用しておく。

「 書籍全文をスキャンしてデータベース化し、内容を検索できるようにしたサービス「グーグルブック検索」をめぐって、米国の作家協会と出版社協会などが米グーグルを著作権侵害で訴えていた集団訴訟が昨年10月に和解の合意に達し、今夏にも出される連邦裁判所の認可を待って発効する。その効力が日本の著作者にも及ぶとする法定通知が「グーグルブック検索和解」の専用サイトに掲載され、また2月24日のいくつかの新聞に掲載されて波紋を呼んでいる。

  この和解合意の対象は2009年1月5日以前に出版・公表された書籍で、和解が発効すると、同社は、(1) 著作権保護のために設立される非営利機関の費用3450万ドル(約32億円)を提供する。(2) 無断でデジタル化された書籍などの著作権者に補償金として総額4500万ドル(約42億円)以上を支払う。(3) そのかわり、同社は、絶版などで米国内で流通していない書籍のデータベース化を継続し、データベースアクセス権の販売や、広告掲載などの権利を取得する。(4) 対象書籍に関する同社の収益の63%は著作権者などに配分する。などのことが決められている。

  著作権者は、今回の和解合意に対して、(1) 同意せず、同社を訴える権利を保持する場合には、5月5日までに和解管理組織に書面で除外を申請する必要がある。・・・(以下略)」

これについて、あるブログ(社内弁理士のチャレンジングクレーム)の2009/2/25付けエントリ「Googleと集団訴訟(クラスアクション)とベルヌ条約」をみて、印象に残ったので、メモしておきたい。

このエントリでは、この和解について、次のような見方を述べている。

「・・・このGoogleの和解はクラスアクションという「取引コスト」の低減と、ベルヌ条約により世界163カ国の著作権を一気に捕捉するという戦略を組み合わせて「対価請求権化」と「取引コスト」の低減を大スケールで達成しようというものといえる。」

米国の制度は詳しくないが、米国の集団訴訟では、それによる和解や判決の効力は、その集団訴訟に参加していない人にも及ぶらしい(例外として、オプトアウトの方法で自分には効力が及ばないようにすることはできるらしい)。また、ベルヌ条約によれば、加盟163カ国のいずれかの国で著作権が成立すれば、全ての加盟国で同じ内容の著作権がそれぞれ成立することになる。

この米国での集団訴訟の効力とベルヌ条約の効力とを組み合わせることにより、グーグルは、米国で成立している全ての書籍に関する著作権(ベルヌ条約に加盟している外国に国籍または住所を持つ著作者が所有する米国での著作権をも含む)を、一網打尽に和解の網に掛けることができる(後は、オプトアウトにより集団訴訟の効力が及ぶのを拒否した著作者・著作物を個別に除外すればよいだけ)。そういう意味で、集団訴訟やベルヌ条約の効力をうまく利用し尽したグローバルでスケールのでかい戦略だということ。

これがグーグルの戦略だということは、グーグルは集団訴訟の被告になっている訳だが、米国の著作権者たちが自分を被告として集団訴訟をするように仕組んだということだろうか。まあ、そうなんだろう。

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