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2009年3月11日 (水)

捜査情報のリークは適法か

前の記事で、小沢さんの捜査情報のリークに関しては証人喚問ではなく刑事告発でやったらと書いたが、そもそも、これが犯罪になるかどうかは微妙と思う。

僕は、少数説かどうか知らないが、政治家の犯罪またはその疑いに関する情報のリークは、国家公務員法(守秘義務)違反の犯罪ではなく「適法」だと思う(この問題についての学説や判例は知らない)。

この問題は、このブログの以前の記事(かんぽの宿に関する慶応大学・岸博幸教授の主張について)に書いたことと一部重複するが、刑法の名誉毀損罪の規定が参考になると思う。名誉毀損罪に関しては、一般人と政治家・公務員とを明確に区別して、政治家・公務員については相当な資料に基づいて真実と考える公益情報を公表したときは、その結果として名誉を侵害しても犯罪は成立しないとされている。

一般人と異なって、政治家その他の権力者については、プライバシーよりも公益性が優先されるべき場合がある。例えば、進行性の癌かその疑いがあるというような病気の情報は、一般人にはプライバシー情報だが、総理大臣などに関しては、プライバシー情報であると同時に国益に直結する高度の公益情報でもある。

国民の知る権利は民主主義の基礎とされている。なぜなら、国民に政治その他の情報が知らされないまま民主主義が行われると容易に衆愚政治になってしまうからだ。

政治家の犯罪またはその疑いに関する情報については、それは高度に公益に関する情報だから、国民の知る権利に応えるために原則として公開すべきで、それは国家公務員の守秘義務の要請よりも優先するはずだ。

政治家の捜査情報は、国家公務員の守秘義務に拘わらず、国民の知る権利に応えるため、捜査の妨げになるなどの他の問題がない限りにおいて、積極的に公開した方がよい。こそこそとリークなんかしないで、堂々と毎日でも記者会見で最新の捜査状況として公表すべきだ。

形式論理としては、(1)政治家の犯罪またはその疑いに関する情報は「国家公務員法の守秘義務で守られるべき情報」には該当しない(企業の内部告発に関して、雇用契約上の守秘義務があるとしても、その企業が犯罪行為をしていれば、それは「守秘義務で守られるべき情報」ではないから、内部告発・公表しても適法だというのと同じ論理)、(2)仮に該当するとしても公益目的からのものだから可罰的違法性がない、(3)正当行為(刑法35条)に当たる、などの理由付けが可能だろう。

まあ、もちろん、今の検察からのリークの問題は、国策捜査・世論操作という文脈の中で問題になっている(捜査対象が自民党議員だったら、リークがあってもそれほど問題にならなかったろう)。

しかし、仮に国策捜査だとしても、捜査情報は可能な限り国民に公開されるべきだ(国民の知る権利から)。なお、ある政治家については捜査情報を詳細に公開しながら他の政治家については公開しないという情報操作を行っている場合は、純粋な公益目的とはいえないので違法性が阻却されないなどの理由で、国家公務員法(守秘義務)違反の犯罪になるという可能性はあると思う。

公益的な情報はできるだけ公開されること(国民の知る権利=民主主義の基礎)が必要であり、それさえ確保できれば、後は、国策捜査かどうかをも含めて、国民が選挙などを通じて判断すればよいことだろう。

追記(2009/3/14):

小倉秀夫弁護士の2009/3/13付けエントリの捜査過程に関する情報を,虚実交えてマスメディアに「リーク」すること自体が「法に基づかない」行動では、「一定の政治的な意図に基づいて捜査過程に関する情報を虚実交えてマスメディアに「リーク」する検察の行動を,それにより支持率低下の危険がある民主党が問題視するのは正当なことであると言えます。そして,・・・民主党が政権を取った場合にそのような非公式の「リーク」を規制するということであれば,それはそれで望ましいのではないかと思われます。 」という意見が述べられている。

また、これに対する反論として、2009/3/14付け検察官出身弁護士のモトケンさんのブログでは、「虚偽情報のリークは問題なしにアウト(つまり違法)でしょう。 不確実情報のリークもアウトだと思います。 では、確実な事実(少なくともリーク時点では確実と思われた事実)についてはどうでしょうか。 ある程度明らかになった捜査情報に基づいて、一般市民にさらなる情報提供を求めるということもあるわけですので、捜査情報の提供が直ちにまたは当然に違法となるかどうかについては正直自信がありません。」という意見が述べられている。

まあ、この両者の意見は、それほどの違いはないだろうし、また、これら両者の意見と上記の僕の意見も大きな違いはないと思う。

追記(2009/3/18)として、今のような検索リークは、適法とは言えないと思う。なぜなら、リークの目的が「世論誘導」であって「国民の知る権利のため」とは言えないと思うし、リークの手段も検察の都合のよい情報をマスコミに垂れ流してるだけで、マスコミから質問や反論を受け付けた上でマコスミに報道させるという形になっていないから。リークではなく、記者会見の形で、質問と反論を受け付けた上での情報提供を、毎日でも行うべきと思う。

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