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2009年4月 9日 (木)

NHKの「特許が危ない 知財高裁5年目の課題」を見て

2009/4/9深夜のNHKの「今日のニュース&スポーツ」の中の「特許が危ない 知財高裁5年目の課題」を見たが、その内容は次のようなものだった。

1 知財高裁が発足して5年目になったが、特許侵害訴訟の事件の中で、知財高裁(あるいは知財高裁を含めた裁判所?)により特許を無効と判断した判決は、2005年は31.9%、2006年は51.4%、2007年は42.1%、2008年は46.4%となっている(テレビを見ながらメモしました)。

要するに、特許侵害訴訟を提起したら、原告の特許は、だいたい50%くらいの確率で、無効と判断されてしまうようだ。

2 知財高裁が特許を無効と判断した事件の例として、携帯電話のマナーモードでの着信時のバイブレーション機能について、モーターにより回転する回転板?をわざわざ真円状にしないで偏って回転させることによりブルブルと振動させる発明について、それは自明だから進歩性がなく無効だとした例があるが、そもそも「自明」というのは何かが疑問だ、と解説委員が話していた。

私見としては、これだけで裁判所の判断が不当と決めることはできない、例えば、「モーターにより回転する回転板?をわざわざ真円状にしないで偏って回転させることによりブルブルと振動させる」という技術は既に公知で、「その公知技術を単に携帯電話に適用したこと」が発明の本体であるならば、それは容易・自明だから進歩性がないと判断したのかもしれない。

※この番組の内容を示すブログ(開設委員室)が開設されていたので、一部を引用しておく。

「・・・例えば、携帯電話をマナーモードにすると、呼び出し音が鳴らない代わりに、電話機がブルブルと震えて着信を知らせますが、ブルブルッと震えるのは、モーターに円盤を付けて回転させる際に、わざと不完全な円盤を組み込んで回転を不均衡にさせて振動を起こしています
しかし裁判所は、完全な円盤で振動しないなら、円盤を変形させれば振動が起きるのは自明のことだとしまして、特許庁が認めた特許を覆したという事例があります。特許を巡る裁判は様々な要素が絡み合って極めて複雑なので、余り単純化するのは危険ですが、こういう事例を見ると、「自明のことである」という判断そのものがどこかおかしいと思わざるを得ません。
新しい技術や見たこともない新製品のすべてが、100%新しく革新的なわけではありません。現実のものづくりの世界では、業界の常識をちょっと変えてみるとか、発想を少し転換させることによって、世の中に役に立つ技術が生まれることの方が多いのです。

アメリカ大陸を発見したコロンブスが、「いずれ誰かが見つけていたことだ」という皮肉に対して、「この机の上に卵を立ててみろ」と言い返したといいます。
そしてコロンブスは、誰も立てられなかった卵を立ててみせました。
実際には卵の底を潰して立てたのですが、この話の教訓は、あとから種明かしをされれば、「何だ」ということでも、発想を転換させて最初に立ててみせる事こそが重要なのだという点にあります。しかし携帯電話の事例に見られる裁判所の判断には、コロンブスの卵をそもそも認めない姿勢が窺えます。

もう一つ重要なのは、どんなに素晴らしい発明も、多くの場合、時間が経てば、当たり前のことと見做してしまう傾向がある点です。いわゆる「あと知恵」です。だからこそ特許の有効性を判断する立場にある特許庁や裁判所は、あと知恵という罠があることを常に自覚する必要があります。」(太字は当ブログによる)

上記の引用のように、解説委員は、知財高裁の進歩性判断について批判している。しかし、進歩性はかなり専門的な内容なので、学者や専門家に聞いたりして調べたのだろう。

また、上記の「コロンブスの卵」(あとから種明かしをされれば、「何だ」ということでも、発想を転換させて最初に立ててみせる事こそが重要)と、「後知恵」(どんなに素晴らしい発明も、多くの場合、時間が経てば、当たり前のことと見做してしまう傾向がある)とは、僕は同じことを言ってる問題だと思ってたが、この解説委員は別の問題だと捉えて、話していたようだ。

3 解説委員は、コロンブスの卵のような発明も大切、後智恵で考えれば簡単に思えてもなかなか思い付かないアイデアもあり、そのようなアイデアは保護されるべきだ、というような発言もしていた。

4 特許侵害訴訟が提起されたら、特許の有効性が裁判所と特許庁の双方で争われる「ダブルトラック」により特許の有効性がいつまでも宙ぶらりんのままになってしまうという問題も指摘していた。

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