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2009年4月26日 (日)

民主党の第三者委員会での堀田・元検事と郷原・元検事の議論を聞いて

民主党が委託した「政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」における堀田・元検事と郷原・元検事の議論を聞いてみた。

全体として、堀田さんは、郷原さんの先輩らしく、また、検察庁の王道を歩いて定年退職した人だからか、途中退職した郷原さんに対して何かちょっと威張ってるようで嫌な感じがした。大きな組織の中で長く生息してきた人間は、辞めてからもそういう感覚から抜けられないのだろうか。また、堀田さんの表向きはいかにも温和そうだがちょっとネチネチした嫌味のある言い方もあって、議論の全体の印象として、暗い陰湿な感じを受けた(ただ、民主党の委員会というアウェイにたった一人で出かけて行って4人を相手に堂々と議論したのは立派だ。竹中平蔵さんにも見習って欲しい)。

以下に、感じたことを2~3、書いてみたい。

1. 堀田さんは、検察リークについて聞かれて初めて答えるとき、いきなり、「郷原さんは検察内部で人事評価が高かったのに途中で辞めたのは、長崎の政治資金規正法違反の摘発のときに郷原さんがいろいろマスコミにリークしたのが検察内部で問題になって人事評価が下がったからではないか、そのために出世が望めないということで辞めたのではないかという噂が検察内部であった」という趣旨の発言をした。このネタ(隠し玉)は、おそらく、事前に検察側からこれを言ってくれと言われて、相当の準備をして狙って発言したのだろう、と感じた。

つまり、これは、郷原さんの今までの発言の信頼性を疑わせる個人攻撃そのものだろう。これを聞いて、僕は、検察内部の裏金の存在を告発しようとしてその前日に逮捕された三井環(元大阪高検公安部長)さんのことを思い出して、検察は怖い組織だと改めて思った。もし、長崎地検での政治資金規正法違反の事件でのリーク(事実かどうかは分からない)の問題がもし時効でなかったら(時効かどうか調べてないが)、検察は、郷原さんを口封じのため「国策捜査・逮捕」することも在り得たかもしれないと感じた(郷原さんは、自らのリークの事実は、明確に否定していた)。検察は、検察批判から自分を守るためなら、それほどのこともやる国家機関なのだと思った。

この堀田さんの発言は、郷原さんに対して、「今後の発言内容には気をつけろよ」と威嚇・恫喝し、萎縮させる効果を狙ったものだったのでは、と感じた。

2. 上記に関して郷原さんが「長崎の事件のときは、長崎地検から最高検などの上層部に話を上げた後になって急にリークが始まった(つまり、長崎の事件でリークしたのは最高検などの上層部の可能性がある)」という趣旨の話をした後に、堀田さんは、「マスコミのある社が、これこれの事件を本当かと聞いてきて、今そのネタを出されると捜査上まずいので、ちょっと出すのは待ってくれ、その代わり、この事件が進んだ段階でお宅の社に特別の情報を渡すからと、一つの社と取引をする(つまり、リークする)」ということは「ある」と明言した(郷原さんもそれはありえると発言していた)。

3. 堀田さんは、今回の小沢代表の行為は「政治資金規正法の趣旨に反するものだ、だから、逮捕・起訴は妥当だ」という趣旨の発言をしていた。

つまり、堀田さんは、「(a)政治資金規正法の趣旨に反する」→逮捕・起訴は妥当、という論理だ。

しかし、罪刑法定主義の原則から考えると、「(a)政治資金規正法の趣旨に反する」→「(b)罰則を定めた条文の構成要件に該当する」→「(c)故意(認識)がある」→逮捕・起訴は妥当、という流れになるはずだ。

この点で、堀田さんの意見は理論的におかしい(上記の(b)(c)(d)を抜かしている)と思ったが、これについての指摘が出席者からなされなかったのは残念だった。

4. 学習院の桜井敬子教授(政治学)の指摘で、すごく鋭いなと思ったのは、日米安保条約や自衛隊の合憲性などについて、このような高度に政治的な問題は民主主義のルート(世論・国民の選挙→国会の議論)で決めるべき問題だから司法のルート(裁判所)で決めるべき問題ではないという「統治行為論」(憲法での学説と判例の見解)があるが、検察も起訴か不起訴かを決めるなどの準司法機能を持っていることから、検察の捜査や起訴についても、政治的な色彩の強い問題については検察・司法のルートではなく民主主義のルート(世論・国民の選挙→国会の議論)でいった方がよいのではないかという視点からの検討も必要ではないかという考え方。今までほとんど議論されていない新しい視点だと思った。

5. また、同じ学習院の桜井敬子教授(政治学)の指摘だが、検察は、行政機関だけども政府からの独立性を持っているため純粋な行政機関とも言えないし、起訴か不起訴かを決めるなどの準司法機能はあるのに司法機関とも言えないという「ヌエ」的な性格を持っているので、検察は今まで「行政改革」にも「司法改革」にもきちんと乗っからなかった面があるため、「検察を改革しろ」という正面からの議論が無かったという指摘があったが、これも新鮮な視点だと感じた。

「検察の改革」は政権交代の後の大切なテーマになるだろうし、今回の選挙のマニュフェストにも入れるべきだと思った。

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