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2009年4月22日 (水)

日本漢字能力検定協会の元理事長側の意外な知財・特許戦略?

昨日(2009/4/21)付け日経新聞の「文科省 漢検 後援 取りやめ」の記事の中で、日本漢字能力検定協会の新理事長の鬼追明夫氏の記者会見の内容として、次のような事実が載っていた(スポニチでも同様の報道あり)。

記者会見した鬼追理事長によると、・・・(中略)・・・「前理事長とは距離を置く」と強調。しかし、親族企業2社のうち1社は検定の採点や統計などをしているため「特許権の帰属問題などもあり、好ましくないと思っても短絡的に(取引中止を)やろうというわけにはいかない部分もある」と述べた。(太字は当ブログによる)

漢検の話の中で急に「特許権の帰属問題などもあり・・・」という場違いな話が出てきたので気になって、少し調べてみた。

すると、確かに、この漢字検定協会の前理事長側(大久保昇氏と大久保浩氏)は「株式会社日本統計事務センター」の名前で、今まで(データベースに出ているものだけで、最近の出願はデータベースには出てない)に、計14件の特許出願を行い、その中で4件が特許されている(他は、既に拒絶されたり、まだ審査中など)。

この特許された4件を見ると、漢字検定と関連するものとしては3件がある(この3件の特許の内容は末尾に示した)。他に、株式会社オークの名義でも数件の出願と特許があるが、それらは、ネットワークを使用した商品の販売に関する発明などで、漢字検定とは関係ないようだ。

「株式会社日本統計事務センター」による最近の出願と特許には、コンサル会社の「日本総合研究所」と共同出願している(発明者も双方から出している)ものが多い。

これらの特許や出願が実際上どれだけの力を持っているのか、漢字検定の採点や統計の業務を他社に委託するとこれらの特許権の侵害になってしまうのかどうか、ここで簡単に判断することはできない。ただ、一般的には、漢字検定の採点と統計だけなら、大学のセンター試験や予備校の模試などの採点や統計と基本的に変わるところはないと思われるので、そういう試験の採点や統計をしている大手の業者に委託することは特許侵害にはならないのではと思う(もちろん、業者ごとにやり方が違うので、今までの漢字検定と全く同じやり方での採点と統計にはならないだろうが)。下記の特許3件の内容はざっと見たが、この3件の特許だけなら、特に問題は生じないと思う。ただ、他の出願中のものについては中身を見ていないので、何ともいえない。

なお、僕は漢字検定はやったことないので分からないが、例えば漢字の筆順とか跳ね上がりなども採点するようにし、その採点方法のやり方を特許又は特許出願しているのならば、かなり手ごわい特許になる可能性はある。下記の3件の特許にはこのような要素はない。出願中のものについては、中身を見ていないので分からない。

一応、他社に委託すると大久保元理事側の特許権の侵害になってしまうかどうか、検討する時間は必要だろう。

「うちはこういう特許を持っていますので、これからもずっとうちに委託された方が良いですよ(もし他社に委託するとうちの特許権の侵害の問題が生じる可能性がありますよ)」というのは、良く使われる脅し?営業の手口だ(例えばゼネコンなどが特許に詳しくない役所などを相手に良く使っている)。

そう考えると、大久保元理事長側が以前からこういう特許出願をかなり大量に( 「株式会社日本統計事務センター」だけで14件以上)行っていたということは、見かけによらず、かなり知的な戦略を採用していたということだろう。

【特許番号】特許第3687785号(P3687785)
【登録日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【発明の名称】採点処理方法および採点処理システム
【出願番号】特願2001-246762(P2001-246762)
【出願日】平成13年8月15日(2001.8.15)
【特許権者】
【氏名又は名称】株式会社日本統計事務センター
【住所又は居所】京都府京都市西京区川島有栖川町51番地
【発明者】
【氏名】大久保 浩
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段により入力された解答データを集信し、採点処理を行って採点コンテンツデータを作成する採点処理手段により採点処理する方法であって、
試験において複数の受験者が解答を行った解答データを収集するステップと、
前記受験者の各種属性データを収集するステップと、
入力手段により入力された解答データを、変換手段により採点処理可能な形式に変換するステップと、
記憶手段によって記憶されている各設問に対して正答または誤答が解答された場合に生成される最も小さい解答データのデータ容量と、前記受験者が解答を行った解答データとを比較対照して、前記最も小さい解答データのデータ容量より小さいデータ容量の解答データを無解答と判断することを含む、解答判断手段により前記解答データが正答、誤答、無解答のうちいずれに該当するかを判断するステップと、
解答判断手段により正答または誤答であると判断された解答データについてのみ採点処理をするステップと、
前記解答データの内容毎に前記受験者の各種属性データの集計を行うステップとを含むことを特徴とする、採点処理方法。

【特許番号】特許第4004299号(P4004299)
【登録日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【発明の名称】試験問題提供システム、試験問題提供装置、試験問題提供方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラム
【出願番号】特願2002-26156(P2002-26156)
【出願日】平成14年2月1日(2002.2.1)
【特許権者】
【氏名又は名称】株式会社日本統計事務センター
【住所又は居所】京都府京都市西京区川島有栖川町51番地
【特許権者】
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
【住所又は居所】東京都千代田区一番町16番
【発明者】
【氏名】大久保 浩 (他、株式会社日本総合研究所内を住所とする3人)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いておこなう試験において試験問題を提供する試験問題提供システムであって、
ネットワークに接続されたサーバーが、
前記試験問題の一つの問題を構成する文書情報を一つのコンテンツとして、または、前記試験問題の一つの問題を構成する図形情報および前記試験問題の一つの問題を構成するイメージ情報の少なくとも一つと前記文書情報との組合せを一つのコンテンツとして、前記コンテンツを複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶された複数のコンテンツの中から任意のコンテンツを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたコンテンツを前記記憶手段によって記憶された複数のコンテンツの中から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたコンテンツのレイアウトを指定するレイアウト指定手段と、
を備え、
前記ネットワークに接続された受験者用端末装置が、
表示画面を制御して、前記レイアウト指定手段によって指定されたレイアウトに基づいて前記抽出手段によって抽出されたコンテンツを表示するとともに前記コンテンツに対応する解答欄を表示する表示制御手段と、
前記表示画面に表示されたコンテンツを指示するコンテンツ指示手段と、
前記コンテンツ指示手段によって指示されたコンテンツに対応する前記解答欄にカーソルを移動するカーソル制御手段と、
を備えたことを特徴とする試験問題提供システム。

【特許番号】特許第3887525号(P3887525)
【登録日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【発明の名称】オンライン試験システム
【出願日】平成12年7月11日(2000.7.11)
【公開番号】特開2002-23610(P2002-23610A)
【特許権者】
【氏名又は名称】株式会社日本統計事務センター
【住所又は居所】京都府京都市西京区川島有栖川町51番地
【発明者】
【氏名】大久保 浩
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受験会場サーバと試験管理サーバと採点サーバとを有するサーバと、サーバにネットワークを介して接続された受験端末とを含む、オンライン試験システムであって、
受験端末は、
受験者数に応じて複数設置され且つ受験会場毎に設置された受験会場サーバに接続され、
ネットワークを介して受験会場サーバから配信された問題を示す文字・記号を記録した試験コンテンツデータに対応して入力された解答に基づいて、OMRによる処理及び/又はOCRによる処理に使用される解答コンテンツデータを作成する解答コンテンツデータ作成手段を備え、
受験会場サーバは、
受験会場毎に設置され、
ネットワークを介して、受験端末と、試験管理サーバ及び/又は採点サーバと接続され、
受験会場毎に抽出された受験者の個人情報及び受験会場で実施される受験者が受験する試験を特定するための情報を記憶する手段と、
受験端末から受験者により入力される受験票に記載されている情報と前記記憶する手段に記憶されている受験者の個人情報とに基づいて、演算処理して受験者の認証を行うとともに、前記認証した内容に基いて、試験管理サーバから配信され記憶された試験コンテン
ツデータから抽出し、受験会場で実施される試験の種類に対応し且つ各受験者が受験する試験の種類に対応した内容であって、少なくとも問題を示す文字・記号を記録したテキストデータを含む試験コンテンツデータを、ネットワークを介して受験端末に配信する問題コンテンツデータ配信手段と、
受験端末で作成された解答コンテンツデータを、ネットワークを介して受験端末から集信する解答コンテンツデータ集信手段と、
前記集信した解答コンテンツデータを、ネットワークを介して採点サーバに配信する解答コンテンツデータ配信手段とを備え、
試験管理サーバは、
受験者データベースに記憶されている全受験者の氏名,住所,電子メールアドレス等の個人情報と、受験する試験の種類を特定する情報とを、演算処理して受験者及び試験の種類を特定する手段と、
試験コンテンツデータベースに記憶されている試験コンテンツデータを、前記試験の種類の条件に基いて、演算処理して受験会場サーバに配信する試験コンテンツデータを抽出する試験コンテンツデータ抽出手段と、
試験コンテンツデータを、ネットワークを介して受験会場サーバに配信する試験コンテンツデータ配信手段と、
採点サーバにより作成された採点コンテンツデータを受験者に提供する採点コンテンツデータ配信手段とを備え、
採点サーバは、
ネットワークを介して受験端末から集信した、OMRによる処理及び/又はOCRによる処理が可能なOMR用及び/又はOCR用の画像データを含む解答コンテンツデータと、前記試験コンテンツデータの画像データを含む解答データとに基づいて、OMR処理アプリケーション及び/又はOCR処理アプリケーションにより採点処理を行ない、OMR処理アプリケーション及び/又はOCR処理アプリケーションにより作成された採点結果によって採点コンテンツデータを作成する採点コンテンツデータ作成手段を備え、
前記採点コンテンツデータ作成手段は、
WWWサーバで閲覧可能なデータを作成するデータ作成手段及び/又は受験した試験に合格したことを証明する書類を印刷することができる印刷データを作成する印刷データ作成手段と、
入力された試験管理サーバの受験者データベースを検索・抽出して、受験者のメールアドレスを検索するメールアドレス検索手段と、
前記採点コンテンツデータを前記受験者の電子メールアドレスに送信する電子メールアドレス送信手段とを有し、
更に、前記解答コンテンツデータ作成手段は、
前記問題コンテンツデータ内に含まれている解答選択肢を選択・入力する入力手段及び/又は解答を示す文字や記号等を手書きにより入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された内容をOMRによる処理が可能な画像データとして保存する画像データ保存手段及び/又は前記入力手段により入力された内容をOCRによる処理が可能な画像データとして保存する画像データ保存手段とを有する解答コンテンツデータ作成手段とを備える、
オンライン試験システム。

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