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2009年5月17日 (日)

小沢氏側へ献金した政治団体は「実体の有る団体」だったことが報告書で明らかに

西松建設から、今回の民主党・小沢秘書への献金問題についての報告書(PDF)が公開された。http://www.nishimatsu.co.jp/press/2009/20090515_2.pdf

この報告書の重要部分は、udonenogureさんのブログ「雑感」に転載されている。以下に僕が述べることは、報告書の引用部分を含めて、このブログに大幅に依拠させてもらっている。

この報告書の内容を見て、僕が注目したのは、西松建設が設立した2つの政治団体は、西松建設のダミーだとしても、決して「実体のないダミー」ではなく、十分に「実体のある団体」(仮にダミーだとしても「実体のあるダミー」)だった、そういう事実が、この報告書で明らかになっている、ということだ。

これは、小沢秘書側に有利に、検察側に不利に働く事実だと思う。

なぜ、この献金した政治団体が「実体のないダミー」ではなく「実体のある団体(実体のあるダミー)」であることが重要なのか。それは、政治資金規正法では、「献金をした団体」の名前を記載すべきで「背後で資金を拠出した団体」の名前を書けとはしていないので、今回の件では小沢秘書は「献金をした団体」の名前を書いたのだから「虚偽記載」はないというのが郷原・元検事や岩井・日大教授などの従来の解釈だ(検察の「新しい解釈」は別)。しかし、この「従来の解釈」による場合でも、「献金をした団体」が「全く実体のないペーパー団体のダミー」であるという場合は、例外的に「そのペーパー団体を操った背後の者」(本件なら西松建設)が「献金をした団体」だという「解釈」になる可能性があるからだ(郷原・元検事がそのような解釈を提示されている。下記の※参照)。しかし、仮にこのような「解釈」に立つとしても、この西松建設の報告書により今回の政治団体は「十分に実体のある団体(仮にダミーだとしても)」であることが分かったから、やはり、小沢秘書が「献金をした団体」の名前を記載したことは正しかったと思う (逆に、もし小沢秘書が「西松建設」の名前を書いていたら、従来の解釈からすると「虚偽記載」の罪になってしまっただろう)。

※郷原・元検事は、3月上旬のサンプロで「虚偽記載」の解釈について、次のように発言されている(こちらから引用)。

「ただ問題は、西松建設が実質的に出資した資金だと代議士本人か秘書が認識していればそれだけで直ちに「政治資金規正法違反」が成立するかというと、そうではない。
「政治資金規正法」では、寄附行為者の名前と寄附金額を「政治資金収支報告書」に記載することが義務付けられている。しかし、資金の実質的拠出者まで記載する義務はない

法律で義務付けられているのは、寄附行為者の名前と寄附金額だけだから、西松建設の2つのダミーの政治団体の名前と金額を記載すれば良いのであり、仮に政治家が実質的な拠出者を西松建設だと認識していても、政治資金規正法違反とはならない。
違反になるかならないかは、資金の拠出者が誰かということではなくて、この寄附行為者が本当に寄付行為者と認められるかどうか。
本当に全く実体のないペーパーのような存在であれば、(背後で操った者が(当ブログが付記))直接寄附をしたのと同じように見做されることになる。そこが捜査のポイントになる


西松建設が2つのダミー団体を支配していたとしても、政治団体として実体があれば、その実体のある政治団体の名義の献金となる。
それ以上に、政治団体とは認められないような、まさにペーパーのようなダミー団体の実体が全くないものでなければ政治資金規正法違反とすることは難しい
」(太字は当ブログによる)

以下に、上のudonenogureさんのブログ「雑感」から報告書の内容を引用させてもらいながら、この政治団体が「実体のある団体」だったことを示す(証明する)事実をいくつか指摘してみたい。僕のコメントは青字で示す。また、以下の引用部分の太字は当ブログによる。

西松建設の報告書の一部の引用(以下の(1)~(8))
(1) この政治献金の仕組みの概要は、次のとおりである。まず、國澤は、政治団体の設立準備を行わせる部長クラスの社員を1 名選任し、同人に推進役を務めさせた。この際、國澤は、政治団体の代表者には当社との雇用関係を持たない者が就任すること、政治献金の原資は当社の社員が個人からの寄附を装って政治団体に寄附をするものの、その前提として、当該社員に対しては、特別賞与と称して寄附金額を超える金銭を支給することを決定した。要するに、当社がその計算と資金によって政治献金を行うのであるが、名目はあくまでも個々の社員が個人献金として当該団体に対しての寄附をしたかのように装うものであった
(中略)
3 政治団体の資金工作としての特別賞与制度等
平成7 年夏ころ、政治団体「新政治問題研究会」が設立されることとなった。献金を行う趣旨に関しては、工事の発注を得たいという積極的な動機よりも、受注活動を妨害しないでほしいという消極的な理由もあったと供述する者もいた。
社員による政治団体への寄附の原資に関しては、当社が一部の社員に対して特別賞与の名目で金銭を交付し、その代わりに当該社員から年に2 回、政治団体への寄附をさせていた。(中略)
※この中では、2つの事実が重要だ。第1は、「政治団体の代表者には当社との雇用関係を持たない者が就任すること」、 第2は、「当該社員に対しては、特別賞与と称して寄附金額を超える金銭を支給すること」、つまり、「社員への特別賞与」と「社員の寄付」とは、その額も時期もズレており一致していた、という事実が存在している。
(2)会員とする社員は、当時の幹部社員が全国の支店を回って、一人一人勧誘し、会員となる旨の了解を得ていった。当初の会員となった社員数は、約220 名であったが、退職するなどして徐々に減っていった。(中略)
※会員とする社員は「機械的に」選んでいたのではなく、「一人一人勧誘して、了解を取って」、会員になってもらった。つまり、「強制」ではなく、各社員の「自由意思」で会員になってもらったということだ。
(3)前記の経過を踏まえて、新政治問題研究会の代表者に就任することとなった元社員は、本社担当部長とともに、会員になってもらう社員の勧誘のため、全国の支店を回り、並行して、政治団体設立のための勉強を続けた。政治団体の事務所は、平河町の賃貸マンションを借り受けた。賃借名義は代表者となった者の個人名義とした
政治団体の代表者は、全国の西松建設の支部を回って個々の社員に会員になってくれと勧誘しながら、「自分で勉強して」政治団体を設立した。平河町の事務所のマンションも、代表者が自分の個人名義で貸借契約をした。団体はかなりの「独立性」を有していたことが分かる。
(4)5 政治団体の資金の徴収と支出等
政治団体の収入は、前記のとおり会員となった社員からの寄附であった。ただし、新政治問題研究会の設立後の数年間は、前記のとおり特別賞与制度によって会社の資金を社員に給付し、その中から献金させるという仕組みに加え、当時の取締役も、かかる特別賞与制度の恩恵を受けることなく、いわゆる「自腹を切る」ことによって、寄附を行っていた。ただ、これらの取締役からの寄附については、社員と異なって会社からの補てんがないことに加え、金融機関等の外部から取締役として迎えている人物もあることを理由として、数年で廃止した。
※当初の数年間は、社員ではない取締役は「自発的に、自腹で」会費を払っていた
(5)会員からの寄附の徴収は、会員となった社員に対して振込用紙を交付し、送金させる方法であった。振込用紙は、政治団体側で作成して、これを本社及び各支店事務担当者に交付し、その者を経由して、これを各社員に交付した。(中略)
各社員は、振込用紙により、自分で個々に会費を振り込んでいた(会社が代行して一括振込みしていたのではない)。ここまでやるとなると、「実体がない」とは到底いえないと思う。

(6)6 政治団体の収入源
二つの政治団体の収入源は、大別して、3 態様に分類できる。
メインとなるのは、既に述べたとおり、特別賞与加算金を背景にした、当社社員からの会費と称する寄附金である。二つ目は、これも前記のとおり、取締役からの自発的な寄附金である(ただし、新政治問題研究会の設立から数年間に限る。)。その金額は定かではない。
三つ目は、これら二つの政治団体が独自に主催するパーティーでの収入である。両政治団体は、政治資金パーティーによっても収入を得ている。平成12 年以降、「新世紀政経懇談会」(新政治問題研究会)、「フォーラム21」(未来産業研究会)と題した政治資金パーティーを両団体とも年に3~4 回開催している。政治資金パーティーは、当社の本社及び各支店から資金を支出する名目として存在したのみであり、パーティーの名称こそ、上記のとおり「新世紀政経懇談会」、「フォーラム21」などと、もっともらしいものを付けていたが、実際にはパーティーとしての実体は存在せず、昼食時間帯を充て、本社近隣のホテルの会議室を借りて当社の社員数名を呼び集め、1 人当たり数千円規模の簡単な昼食を取ったのみで、会食後散会していたにすぎなかった。1 回のパーティーで集められる資金が平均200 万円であったところ、会議室使用料と簡単な昼食代金だけでは費用が10 万円にも満たず、僅少に過ぎるため、新政治問題研究会の代表者らは、パーティーの準備もしくはチケットの広告宣伝のために多数回の出張をしたかのように装って架空の交通費等を数十万円計上し、それにより正当にパーティーが開催されたかのように装った。この行為によって浮かせた資金は政治団体の裏金として蓄積し、その後、経費の一部として費消していたものである。
このようにして当社から支出されたパーティー券の対価は、平成12 年以降、52,420千円(資料が押収され確認できないため、一部推定金額を含む。)に上る。
昼食時間帯にホテルの会議室を借りて、数人が集まって、1人当たり数千円の昼食を食べながら議論するというパーティを、毎年、3~4回、行っていた。規模は少なくても、一応の会議というかパーティはやっていたという事実がある以上は、「実体がない」とは言えない。
(7)7 政治団体の収支
当社が支給した特別賞与加算金の負担額と、政治献金の実績を比較検討した結果は、以下のとおりである。
(当社の負担額)
二つの政治団体である「新政治問題研究会」及び「未来産業研究会」による与野党国会議員関係などへの政治献金や、パーティー券購入などの総額は、両団体の政治資金収支報告書等の記載からある程度明らかとなるものではあるが、この政治献金の原資は、実質的に当社によって支払われていたもので、当社の負担額は、当該社員らの税金分を含むために、これよりもはるかに多大であり、特別賞与加算金の総合計では11 億円の規模に達し、これにパーティー券分52,420 千円が加算されるものと認められる。
(中略)
この特別賞与加算金制度は、平成7 年の冬季賞与から始まっており、この加算制度によって、多くの社員に対して一定金額を支給してきた実績があった。平成17 年の冬季賞与まで通算21 回の支給で延べ3,128 人、総額1,103,280 千円が当社の負担により、社員に支給されている。
(中略)
問題となる特別賞与加算金を過去に受領したことのある者は359 名いることが判明し、現在(平成21 年5 月1 日時点)も139 名が当社に在籍している。ただし、具体的な上乗せ金額は本人に知らされず、政治団体への加入の勧誘を受けた際には「賞与で上乗せするから寄附をしてくれ。」と言われていたにすぎなかった模様である。
※団体の会員となった社員は、「賞与で上乗せするから寄付をしてくれ」と頼まれて寄付をしていたが、上乗せされる賞与の額は知らされていなかった。つまり、各社員は、上乗せされる賞与の額が自分がする寄付の額より多いか少ないか(同じかどうかも)知らされていなかったまた、「賞与で上乗せするから寄附をしてくれ。」といわれていたとしても、そもそも「賞与」とは、本当に支給されるかどうか不確かなものだ(たまたまその後の会社の業績が赤字になったら賞与はゼロになってしまうかもしれない)。これらの事実からみて、個々の社員からの寄付は「(依頼によるとしても)自発的な自由意思によるもの」という色彩が濃いと思われる。
(8)(両政治団体の収入金額)
特別賞与加算金の交付を受けた社員は、必ずどちらかの政治団体の会員になっており、政治団体から指定された会費を支払っていた。
上記のとおり、当社は、特別賞与加算金として約11 億円を支給し、両政治団体に対してのパーティー券購入として52,420 千円を支出したものの、社員らの税金負担等で差し引かれ、政治団体に届いた金銭は、合計で591,357 千円(会費による納入額とパーティー券収入の合計額)と推定される。
(両政治団体の支出金額)
両政治団体では、総収入591,814 千円のうち、103,758 千円を人件費など政治団体の運営等に使用した。政治活動に使用されたのは488,055 千円で、他の政治団体への献金やパーティー券購入に使用されたのは478,239 千円、政治活動の経費として9,816 千円が支出されている。

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