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2009年6月16日 (火)

西川辞任が許されない「郵政民営化の裏のシナリオ」はあるのか

小沢秘書が逮捕されてからすっかり影が薄くなっていた「かんぽの宿」の問題が最近になってまた息を吹き返した。鳩山弟が「出来レース」と言い出したあの頃はほとんど注目されてなくて、何故マスコミは報道しないのか(オリックスなどがマスコミのスポンサーになっているからだろうと一応結論付けた)とやきもきしてたもんだけど。

あれから5ヶ月くらい経って、その間に、徐々に国民の間にも浸透したんだろう。読売新聞の世論調査では「西川辞任すべき」が67%だったらしい(ここより)。

郵政民営化に賛成という前提に立っても、西川続投支持という結論だけでなく、不透明な取引を主導したか止めなかった責任から辞任というという結論は十分可能だったはず。それなのに、小泉、竹中、これらに繋がる管(すが)、中川などの各議員はなぜ必死で西川氏に固執するのか。

以前からネットでは「小泉・竹中・西川と米国金融資本が描いたシナリオ」というのがいろんなところで言われていたのだが、当初は僕も「陰謀好きな人たちの見方」かなと思っていた。しかし、この見方はかなり説得力があるし、最近は賛同者が増えているようだ。

6/13付け日刊ゲンダイでは平沼赳夫元通産大臣が次のように発言しているらしい(ここより引用)。「西川さんが辞めないのは、そもそも就任のときから大きなシナリオがあるからでしょう。そのシナリオの中では西川さんは必要不可欠の人物だ。だから、辞めるに辞められないのだと思います。そのシナリオとは、日本の郵貯、簡保資金の解放ですよ。私が経産大臣をやっていたころから郵政問題は日米の政府間協議に上っていた。何度も政府間協議が開かれましたが、その会合には米国の民間保険会社の社長が来ていて驚いたものです。年次改革要望書でも郵政問題は取り上げられた。そうしたら、米国では研究よりも人脈づくりに励んでいたのではないかと思われる竹中平蔵さんが郵政民営化を推し進め、その竹中さんや米国のゴールドマン・サックスと強い絆がある西川さんが、前任者の生田正治氏に代わって日本郵政の社長に就任したわけです。彼が辞任しないのは、裏の大きなシナリオ抜きには語れない。鳩山大臣も当然、それを知っているから引けないのでしょう」(太字は当ブログによる)

これをより詳しく解説したのがここの記事だろう。以下一部引用。「・・・これ以降は私の推測であるが、「竹中平蔵・三井住友銀行・ゴールドマン・サックスのトップ二者」の密談では、西川善文氏を日本郵政株式会社のトップに据え、四分社化によるゆうちょ株式会社と、かんぽ生命の株式上場までの道のりを整えて置くことが話し合われたに違いない ここで竹中平蔵氏の役割は、2007年の4月に四分社化を実現して、郵政民営化を無事にスタートさせることであった(実際は生田正治氏の抵抗によって10月に延びたが)。一方、西川善文・三井住友銀行頭取の役割は、分割民営化された郵政事業を統括する日本郵政のトップに収まり、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式をそれぞれ半分以上、つまりゴールドマン・サックスが経営支配権を持つまで買わせる計画ではないだろうか。それまではその計画が円滑に行くように、西川氏が日本郵政の舵取りをする必要があるのだろう。 2002年夏から、2003年1月にかけて行われた、西川氏とゴールドマン・サックス二名の三者の会談、及びそれに竹名平蔵氏を加担させた四者の会談では、四分社化と株式上場までの基本計画がじっくりと話し合われたと思う。郵政三事業を、いったんバラバラにしたうえで、アメリカの垂涎の的である郵貯と簡保は、全株を市場に放出する形に持って行く必要があったわけである。」(太字は当ブログによる)

何か、スケールが大きな話で今のところ証拠がない(関係者の「自白」などがあれば証拠になるが)だけに陰謀論に過ぎないといえばそれまでだが。

上記の裏シナリオを少し変形して、米国金融資本の代わりに国内の政商(オリックスなど?)を持ってきて「郵政民営化利権」という形にすれば、スケールが小さくなった分、ぐっと身近に感じられる議論になる。

週刊朝日編集長の山口一臣氏のブログの論はこういう系譜のものだろう。以下に一部引用「・・・これはいったい何なのか。ぼくは「規制緩和利権」の一端がはからずも露呈してしまった事件ではないかと疑っている。 郵政民営化には表の「志」とは別に裏コンセプトがある。それは郵政資産の売却だ。かんぽの宿などの不動産だけでなく、総資産300兆円以上といわれる「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株売却もある。そこには当然、利権が発生する。郵政資産の売却に関する規制は、過去に民営化した国鉄(JR)や電電公社(NTT)に比べてかなりルーズだ。1万円で売却された物件が、すぐに6000万円で転売されてしまうことでもわかる。 民営化直前に「かんぽの宿」などの資産を5年以内に売却するよう法律に書き加えたのは、当時の竹中総務相だったといわれている。その竹中氏の盟友が、「かんぽの宿」の売却先だったオリックスグループを率いる宮内氏だ。宮内氏は、規制緩和を利用して自らの企業グループを急成長させてきた。「現代の政商」と呼ばれるゆえんである。(中略) こう考えると、なぜ「改革派」があれだけ西川氏にこだわるのかも見えてくる。別に西川氏でなくとも郵政民営化論者の財界人はたくさんいる(そもそも西川氏は全銀協会長時代は銀行の利益代表として郵政民営化に反対していた)。同じ民営化論者でも、コンプライアンスを重視し、経営の透明化を推進しようとする人物はパージされてしまう。これから資産売却が始まる日本郵政のトップは、改革派が築き上げた規制緩和利権の意義をよく理解し、その功労者への利益分配を忘れない人物でなければならなかったわけだ」(太字は当ブログによる)

日本の郵政民営化の「手本」とされたドイツポストも、サービス低下などで批判に晒されているらしい。2月14日には、ドイツポストの現役の総裁がドイツ史上最大の約158億円という巨額脱税の容疑で逮捕され、引退した(ここより)。

追記(2009/6/17):山崎元さんも「民営化利権」のストーリーに乗っておられるようだ。以下に一部引用。「・・・もう一点付け加えると、日本郵政が民間会社だから、政府がその経営に介入するのはおかしいという理屈は通らない。日本政府は現在100%の株式を保有する株主であり、株主として経営をチェックするのは当然のことだし、郵政民営化を決めた日本郵政株式会社法は日本郵政の取締役人事に対する総務相の認可権限を規定している。政府から資本が入っているのに政府は民間会社に株主の権限を行使できないとする考え方を採ると、政府の出資会社は一種の治外法権的な勝手な行動を取ることができるようになる。経営幹部の給料を公務員よりも高くできるし、行動も自由で、しかも大株主からの追及を受けない。官僚側からみると、これは特殊法人の好都合な進化型なのかも知れない。(中略) 原則として、経営介入が不適当な場合には政府が民間会社の株式を持つべきでない。加えて、政府が過半の株式を持っている会社を「民営化した」と呼ぶのは国語的な間違いだろう。(中略) ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の金融2社は2010年にも株式上場を予定しているが、この際に、西川氏が親しいとされる、三井住友銀行やその系列の証券会社、あるいはゴールドマン・サックス社などに何らかの便宜を図るのではないかという憶測もある。確かに、これら金融2社の将来の上場やそれ以外にもビジネス上の行動は、大きな「利権」になりうるが、この問題は現時点では推測に過ぎない。」(太字は当ブログによる)

陰謀論かどうかはともかく、いろんな懸念や問題がある以上、日本郵政の上場時期の延期、4分社化の見直しなどの法改正を、早急に国会でやるべきだと思う。

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