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2009年7月 4日 (土)

そもそも「献金」が存在していないなら、鳩山秘書に「虚偽記載の罪」が成立する余地はないはず

鳩山由紀夫メールマガジン第406号の一部を以下引用。

「実際に、平成17年頃あるいはその暫く前から、亡くなった方々を含め、事実ではない寄付者が毎年数十件記載されていました。その総額は年間400万円から700万円になることが判明しました。この行為は経理担当の秘書が独断で行い、会計責任者にも報告していなかったのです。そして、事実でない寄付に相当する資金は、私が当該秘書を信頼して預けていましたお金の中から拠出されていました。その事実は弁護士とともに、私も確認したところです。貰ってはいけないお金とか、隠さなければならないお金ではなかったことがせめてもの救いでした。

 ただ、なぜ当該秘書がこんなことを行なってしまったのかですが、当該秘書は弁護士に対して、本来ならば寄付をお願いすべき方々に対してそれを怠ったことから、事実でない記載をし、それを繰り返してしまったと述べたようです。本人からの寄付には1000万円の上限がありますが、本人が資金管理団体に貸し付けるという方法をとれば上限はありません。したがって、収入の不足分を私が預けたお金を貸付の形にすれば問題がなかったのですが、既に過去の私の貸付総額が8000万円を超えていたので、これ以上借りられないと思ったのかもしれません。弁護士は当該秘書の行為は保身のためだろうと記者会見では述べていました。その通りかと存じます。」(引用終わり。太字は当ブログによる)

この鳩山氏の説明を読むと、次の①~③のような事実が推測できる。

①秘書が勝手に故人などの名義で「寄付(献金)」として記載した金額は、「鳩山氏の資金管理団体の収入の不足分」=「鳩山本人からの資金の中、鳩山本人からの寄付(献金)の上限額(1,000万円)を超える部分(その中の2,200万円弱)」だった、

②この「鳩山本人からの資金の中、鳩山本人からの寄付(献金)の上限額(1,000万円)を超える部分(その中の2,200万円弱)」は、本来的に、「寄付(献金)」ではなく、「鳩山本人からの貸付」とすべきものであった、

③よって、秘書が勝手に故人などの名義を使って「寄付(献金)」として記載した部分は、正しくは、「鳩山本人からの貸付」として処理すべきなので、今回、政治資金収支報告書を、そのように訂正した。

ところで、前回の記事でも述べたが、小沢秘書が起訴されている寄付(献金)をした者の氏名を偽って記載したことによる虚偽記載の罪」(政治資金規正法9条違反。下記参照)は、そもそも「寄付(献金)」が存在していることが前提だ。

これに対して、鳩山秘書の場合は、秘書が故人の名義などを使用したとしても、その名義を使用した金額は「鳩山本人からの貸付」なので、そもそも「寄付(献金)」自体が存在していない。

よって、今回の鳩山秘書の行為については、「寄付(献金)」の存在を前提とする「寄付(献金)をした者の氏名について虚偽の記載をしたという意味でも虚偽記載の罪」(政治資金規正法9条違反)が成立する余地はない。なお、秘書が故人などの名義を勝手に使用したことについては、政治資金規正法の他の条項には違反する可能性はある(※訂正しました。下記の追記のとおり、「借入先について虚偽の記載をしたという意味での虚偽記載の罪」になる可能性はある)

政治資金規正法

第九条  政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあつては、その職務を行うべき者。第十五条を除き、以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。

 すべての収入及びこれに関する次に掲げる事項

ロ 寄附については、その寄附をした者の氏名、住所及び当該寄附の金額

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追記: 少し時間ができたので、改めて政治資金規正法を見てみると、鳩山秘書も、小沢秘書のケースとは大きく違うが、一応「虚偽記載」には該当するようです。「借入先」の記載について虚偽の記載をしたという「第九条 一 チ」の違反となるようです(これも「虚偽記載の罪」だといえばまぁそのとおり?)。

このように、確かに鳩山秘書について「借入先についての虚偽記載の罪」が成立する可能性はあります。なぜなら、「鳩山本人からの借入金なのだから、きちんと鳩山本人からの借入金だと記載すべきだったのに、故人などの他人からの寄付(献金)だという虚偽の記載をした」ということになるからです(まぁ、賄賂性などはまず考えられないので、悪性は極めて少ないと思いますが)。

しかし、それはあくまで「借入先についての虚偽記載」です。

したがって、「検察は、寄付(献金)についての虚偽記載の罪で小沢秘書を逮捕・起訴したのだから、他の議員(二階、林など)についても同様に逮捕・起訴すべき、でないと政治的に公平な検察捜査とは言えない」という論理(検察への要求)が自民党議員(二階、林など)について主張されていますが、この論理は、鳩山秘書のケースについては妥当しない、と考えます。

政治資金規正法

第九条  政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあつては、その職務を行うべき者。第十五条を除き、以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。

 すべての収入及びこれに関する次に掲げる事項

 寄附については、その寄附をした者の氏名、住所及び当該寄附の金額

チ 借入金については、その借入先、当該借入先ごとの金額及び借入年月日

第二十四条  次の各号の一に該当する者(会社、政治団体その他の団体(以下この章において「団体」という。)にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)は、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

 第九条の規定に違反して会計帳簿を備えず、又は同条、第十八条第三項若しくは第十九条の四の規定に違反して第九条第一項の会計帳簿に記載すべき事項の記載をせず、若しくはこれに虚偽の記入をした者

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コメント

TB有り難うございます。

虚偽記載、という意味では該当しても、悪質性が低いことから、
通常の訂正報告で、刑事事件になることはないのでしょうね。
また思考を転換すると返済を伴う貸付を、一方的な貸与を意味
する寄付と記載された鳩山氏は、被害者でもあるわけですから、
管理義務はあっても、鳩山氏を参考人招致するような動きは、
事件の本筋を外すものでもあるのでしょうね。ただ秘書の行動
として、まだ腑に落ちない点もあり、第三者委員会でしっかり
調査する、というようなことは必要なのでしょうね。

投稿: 在野のアナリスト | 2009年7月 4日 (土) 23時32分

在野のアナリストさん
こんにちは。
鳩山さんの件は、悪質性は少ないと思いますね。
それをいろいろ言う人やマスコミは、それなりの思惑があってのことでしょう。
国民の多くは、余り問題にしていないと思いますが。

投稿: 寝たろう | 2009年7月 5日 (日) 18時12分

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