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2009年8月 1日 (土)

ひこにゃん類似グッズ、これは不競法違反(5年の懲役)で、彦根市にチャンスだろう

ひこにゃん、困ったにゃん そっくりグッズ流通で」という記事。以下引用。

滋賀県彦根市のゆるキャラ「ひこにゃん」にそっくりなキャラクターのグッズが土産物店などで販売されていることが分かり、市は28日までに「著作権と商標権を侵害している」として、市内の6業者に販売中止を要請した。

そっくりキャラは、ひこにゃんを考案した大阪市のキャラクター作家の男性が手掛ける「ひこねのよいにゃんこ」。作者自身が別キャラをつくる珍しいケースに、市側は頭を抱えている

ひこにゃんは2007年開催の「国宝・彦根城築城400年祭」のキャラクター。男性の作品が公募で選ばれ、市が著作権を買い取り、愛称とともに商標登録した。

しかし、男性側は「ひこねのよいにゃんこ」のうち「座る」「跳ねる」「刀を抜く」の三つのポーズだけをキャラクターとして市に譲渡した、と主張。図柄の使用中止をめぐって調停を申し立てる騒ぎにもなり、結局、市側が販売業者らに3ポーズ以外のひこにゃんの使用を規制することで合意した。

一方、今年になって「にゃんこ」のぬいぐるみやクッキーなどが流通しているのを市が確認。市は「男性から事前協議がないままグッズが出回った。合意したのは絵本の出版などに限られるはず」と反発している。男性の所属する大阪市のデザイン会社は「にゃんこの創作活動は市も認めているはず」と反論しており、話は平行線のままだ。」(太字は当ブログによる)

彦根市と著作者の男性との合意内容は詳しくしらないが、この記事からは、おそらく、

(1)彦根市は、3つのポーズのひこにゃんについてのみ、グッズ販売を販売業者らに許諾できる、

(2)上記(1)の前提として、ひこにゃんの著作権は、彦根市に譲渡し、彦根市は、ひこにゃんの創作活動(絵本の出版など)を男性側に許諾する(又は、男性側が著作権を留保し、彦根市には、この3つのポーズのひこにゃんについてのみ、著作権を許諾する)、という合意なのだろう、と予想される。

もし、こういう合意なら、確かに、上記の記事での男性側の主張のように、「にゃんこの創作活動(絵本の出版など)」は、男性側に認められている。

しかし、「にゃんこのグッズ販売」は、「にゃんこの創作活動(芸術活動)」ではなく、ただの「商売」に過ぎないから、このような「にゃんこグッズの販売」は、上記の合意で認められた範囲内ではない。

このように、男性側の「にゃんこグッズの販売」が彦根市との合意で認められていないとすれば(そのような仮定を前提とすれば)、「にゃんこグッズの販売」は、彦根市の有名なひこにゃんキャラクタと酷似したキャラクタのグッズを販売して消費者を混乱させるものだから、不正競争防止法違反という5年以下の懲役に該当する行為になる可能性があるので、彦根市は刑事告訴や損害賠償請求などが可能だろう。

※不正競争防止法違反の類型の一つに、「他人の商品の外観表示で既に周知になっているものと類似する外観表示を使用した商品を勝手に販売する場合」というのがある(不正競争防止法2条1項1号)。

※男性側と類似グッズの販売業者とは、共犯・共同不法行為の関係になる。

つまり、彦根市のひこにゃんキャラクタを利用したグッズ販売は、既に彦根市が主導して広く知られている。そして、「グッズの販売」は、あくまで商売であって創作活動ではないから、「男性側に著作権(又はその許諾)がある」としても、「著作権(又はその許諾)がある」というだけで適法になることはない(適法とするためには彦根市との合意が必要)。したがって、男性側と彦根市との合意内容が上記のようなものだったとすれば、もし男性側に創作活動についての著作権の許諾があったとしても(又は男性側が著作権を留保していたとしても)、不正競争防止法違反になることに変わりはない。

※もし男性側が著作権を留保していたという場合、著作権はコピーする権利だから、文具などのグッズに自分の著作物をコピーするのは自由なので適法だろうという主張があるかもしれない。しかし、このような場合、ただの私権である著作権よりも不正競争防止法が優先するだろう。不正競争防止法は公共の経済秩序を維持するための法律だから。

彦根市は、頭を抱える必要は全くない。

むしろ、今回のことをチャンスとして、男性側に和解の交渉に応じるように呼びかけた方がよいと思う(交渉に応じなければ刑事告訴や損害賠償請求訴訟をしますよ、ということで)。つまり、今回の男性側のチョンボ(不正競争防止法違反)を逆手に取って、2007年の彦根市に不利な合意を修正するように交渉するチャンスがやってきたと前向きに考えるべきだろう(男性側が今回のグッズ販売で儲けた不当な利益も、損害の賠償として彦根市に吐き出すように、交渉の対象に入れるべきだろう)。

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