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2009年9月 7日 (月)

「特許庁の知的財産活動調査票の無駄遣い」についてコメントを頂きました

2009/9/3付けの「特許庁の知的財産活動調査票の無駄遣い」の記事>について、次のようなコメントを頂いた。

いま出先で正確な情報を確認できないのでざっくりした数字になりますが、例年2500万円前後で落札されているようです。8000サンプルの調査のようなので分析や報告書の作成まで含めた票単価で3000円程度というのは、それなりのクオリティを担保できていると考えれば郵送調査としてはリーズナブルな方です
コストだけでみればネット調査の方がはるかに安くなりますが、公的機関が実施する実態調査の場合は機会平等の観点から郵送調査や訪問留め置き調査(国勢調査が代表的ですね)が選択されることが多いようです。
とはいえ、世論調査やイメージ調査などはすでにネット調査も多くなってきているようですから調査方法の妥当性などは追及されるべきでしょうね。
ただ、それを追及しようとすると、数千万規模の事業では、議員や公設秘書の人件費も勘案すると、追及に要する費用の方が高くついてしまいそうだというジレンマもありますね。法律を書き換えるためのコストもかかってくる可能性もありますし。
そう考えると新政権にはなるべく大きなところを見極めて切り込んでもらいたいと期待しています

今回の調査票が8,000サンプルというのはそのとおりのようだ。特許庁のホームページで確認した。http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toukei/tizai_katsudou_list.htm 

このページでは8,000サンプルと記載されている。しかし、「落札額」が2,500万円という数字は、このページにはない(僕の見方が悪いのかもしれないが)。(追記: 今回の新しいコメントで指摘されたが、こちらにあるようだ。http://www.jpo.go.jp/koubo/choutatu/sougou/h20sougou/pdf/h20_sougou_hyouka/200711_42.pdf 平成20年度は、みずほ情報総研が2,500万円で落札している)

この前の記事の一部に事実誤認があったのはお詫びして訂正しますが、それでも、かなり疑問がある。以下に、疑問を列記しておきます。

1.コメントでは「例年2,500万円前後で落札」とあるが、上記のURLには、そういう「落札額」は書かれていないし、どういう団体に落札されたのかも書かれていない。おそらく、これは、「落札」のある「一般競争入札」ではなくて「随意契約」なのでは? おそらく、1億円以上にすると一般競争入札にする必要があるので、2,500万円以下にして随意契約でよいようにしているのでは? ※後でみたら、上記のように、コメントの指摘のとおり、一般競争入札らしいhttp://www.jpo.go.jp/koubo/choutatu/sougou/h20sougou/pdf/h20_sougou_hyouka/200711_42.pdf

2.特許庁は、少なくともhttp://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toukei/tizai_katsudou_list.htmでは、知的財産活動調査の概要だけ説明しているが、それ以上の詳しい情報、一般競争入札か随意契約か、どこの団体に委託したか、どれだけの金額で委託(落札?)したかは一切、公開していない。公開すべきだろう。 ※上記1のとおり、一般競争入札らしい。

3.昨年は同じような調査を7,500サンプル行って、45%の回収率だったようだ(上記のURLに記載されていた)。それで思い出したが、確か、昨年も僕のところに同じような調査票は来た。無駄と思ったので回答しなかった。今年も無駄と思うので回答する気はない。45%の回収率だと、今回8,000人(法人と個人)に送っても、回答は3,600人程度。しかも、各回答の入力項目は10-20件程度なので、入力作業は自動化してるだろうけど人手でやっても大したことない(仮に1人のオペレータが手入力でやるとしても、1人当たりの回答の入力は1~2分くらいで終わる。だから、たった3,600人分の回答の入力なら、1人が手入力しても、1~2週間で済むはず)。また、回答人数が3,600人しかないから、それを処理するだけなら普通のエクセルやアクセスで十分だろう。それなのに、「わずか3,600人の回答の入力と統計処理だけで1,500万円」(=2,500万円から、8,000件の調査票などの作成と郵送代との予想費用額1,000万円程度を引くと、1,500万円となる)というのは高すぎると思うがどうだろうか。

4.対象の8,000人に送る調査票と資料の作成費用の予想額1,000万円にしても、十数ページの調査票と記入要領と付録を分厚くて表面がツルツルの超高級紙を使って印刷し、しかも記入要領は多色刷りとするのは「無駄使い」ではないだろうか。分厚い超高級紙ではなく、普通の用紙にすれば、資料制作費も安くなるし、軽くなるので郵送代も安くなる。

5.この調査の委託先は、おそらく随意契約のため公開されていないが、多分、天下り団体だろう。そもそも、このような知的財産活動調査は、今の多額の費用に見合うだけの社会的意義があるとは思えないので中止すべきだろう。

6.特許庁は、このような無駄な知的財産活動調査ではなく、「今の特許庁の政策に対する、ユーザー(出願人)側からの不満・要望」をどうして調査しないのだろうか? このような調査をすれば、今の特許庁の「迷走」(僕はそう思う)を脱して、特許庁がユーザー(出願人)のために、これからやるべきこと、そのためのいろんな改善策が、すっきりと見えてくると思う。

例えば、今の拒絶査定に対する不服審判請求の特許印紙代が高すぎることもその一つだ(そもそも不服審判請求は審査官の審査結果(拒絶査定)が不当であるからこそ行うという面がある訳で、そうだとすると、特許庁の方がユーザーである出願人側に「うちの審査官の不手際で不服審判請求までさせてしまって申し訳ありません」という迷惑料を払うのが本筋と思うが、今はその逆で、しかも極めて高額の印紙代が要求されている)。

こういう調査は、費用の掛かる紙でなくネットで十分だし、特許庁のホームページに不満や要望を入力する掲示板を出しておくだけでもよいのでは。

7.上記のコメントでは「ただ、それを追及しようとすると、数千万規模の事業では、議員や公設秘書の人件費も勘案すると、追及に要する費用の方が高くついてしまいそうだというジレンマもありますね。法律を書き換えるためのコストもかかってくる可能性もありますし。そう考えると新政権にはなるべく大きなところを見極めて切り込んでもらいたいと期待しています。」という意見が記載されている。

しかし、「はした金なら、無駄遣いがあっても見逃してよい」という感覚は公務員にはあるかもしれないが、民間にはない。民間では、消しゴム一つでも、無駄を排除している。それに、「数千万規模の事業では、議員や公設秘書の人件費も勘案すると、追及に要する費用の方が高くついてしまいそうだ」という点は違うと思う。

今回の知的財産活動調査(例年2,500万円)については、社会的意義の高低による中止の可否の判断は優秀な人なら1人で1時間もかからないだろうから、「追及に要する費用」は1時間程度の人件費(数千円程度?)で済むと思う。だから、費用対効果は問題ない。しかも、この調査は例年行っているので、1年で2,500万円でも4年間では1億円になる。中止すべきかどうか検討する価値は十分にあると思う。

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雑談(政治関係)」カテゴリの記事

コメント

丁寧なエントリーありがとうございます。
いろいろな解釈はこちらとしても参考になりました。
ちなみに、当方、民間企業でマーケティング関係の仕事をしているので、自分の知る範囲でのリサーチ業務の知見をベースにエントリーさせていただきました。
もちろん、そこでの「リーズナブルな方」というコスト感覚についても、外部の方からご覧になれば無駄だらけに見えるということもあるでしょう。その認識の差異を埋める解は今の私は持ち合わせておりませんので、その点についてこれ以上建設的な議論が出来ない点、お許しください。
その上で、あげていただいた疑問点についてわかる範囲でコメントさせていただきます。

【1】【2】について
以前のコメントにも入れましたが、「調達情報」
のところから探せますよ。今年度のものは見つからなかったのですが、たとえば、昨年度のものは以下のURLにあります。
http://www.jpo.go.jp/koubo/choutatu/sougou/h20sougou/pdf/h20_sougou_hyouka/200711_42.pdf

【3】【4】について
これは、私自身の経験に基づく印象論として述べたことなので、ご指摘のような解釈も充分あるかと思います。

【5】について
天下り団体かどうかに付いては当方にはわかりかねます。後半のご指摘に関しては、私は専門外なので判断できませんがこの領域にお詳しい寝たろうさんのご指摘通りなんだろうと思います。

【6】について
賛同いたします。

【7】について
個別最適の積み重ねが全体最適に繋がるとは限らないので、大きなボトルネックを見つけることを先にした方が良いのではないかという趣旨であのようなコメントになりました。
そういう意味で、消しゴムの例が適切かどうかは別にして、ご指摘のようにすぐに中止が決められるものであれば、そうすべきと私も思います。
ただ、http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toukei/tizai_katsudou_list.htm
の【調査の根拠法令】というところに、「本調査は、統計報告調整法(昭和二十七年法律第一四八号)に基づく承認統計調査です。」
とあったので、止める場合にも法律の書き換えが必要になるのかもしれないと思ったまでです。その場合、一日じゃ済みませんよね?

投稿: nezumi | 2009年9月 7日 (月) 13時47分

nezumiさん
僕の間違いを指摘頂いたコメント、どうもありがとうございました。本文を少し訂正しておきました。

調査の報酬が、対象者1人当たり3000円というのは、マーケティング、広告代理店、シンクタンク、コンサルなどの業界では、ごく普通なのでしょうね。それは、一般の企業とは年収の相場が違うので、報酬の相場感覚も違うのは当然と思います(僕は、今後、下げていくべきとは思いますが)。

調査の根拠法令については、またまた知識もなしに想像で書くとまずいですが、多分、「実施するために法律の承認が必要」というだけで、中止するために法律の承認が必要ということはなく、法改正は必要ないのではないか、と予想します。

マーケティング関係の方でしたか。お詳しいので特許庁の担当の関係の方かなと勝手に想像してました^^; 今後ともよろしくです。

投稿: 寝たろう | 2009年9月 7日 (月) 14時58分

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