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2009年10月23日 (金)

個人発明家にとって補償金請求権の警告はかなり有効と思う

特許法65条に補償金請求権の規定がある。

補償金請求権とは、まだ出願中だがもし特許になればその侵害となるだろうと思われる製品を実施(製造販売)している相手方企業に対して、出願中(公開公報の発行後に限る)でも「私はこういう発明(公開公報の番号を記載)を出願しており、特許になった後は権利行使しますよ」という旨の警告書を出しておけば、後に特許になったときに、特許後の実施(=侵害)だけでなく、出願中の警告後の実施(まだ権利化されてなかったから侵害ではない、その意味で適法な実施)に対しても、少なくともライセンス料相当額(補償金)の支払いを請求できる、という権利だ。

企業が出願している場合は、余り利用しようと思わないかもしれない。なぜなら、企業としては、特許を主として差止めのために使いたいと思っているだろうし、損害を得たいとしても逸失利益(もし侵害がなければこちらが得られたであろう、失われた利益)という大きな額の損害を狙いたいと思うだろうから。

しかし、個人発明家にとっては、差止めは特に重要ではない。また、どうせ、特許後の侵害についても原則としてライセンス料相当額の低い金額(補償金とほぼ同じ金額ということはないだろうが・・・特許後の方が高い金額となる可能性はある)を損害とするしかない。だから、個人発明家にとっては、出願中に補償金請求権の警告書を内容証明で出しておくことはかなり有効と思う(インターネットを使うe-内容証明で送るようにすれば1ページ当たりに詰め込む文字数を多くできるので費用も安くできる)。

この警告をやっておけば、特許の取得を早くしなければと焦る必要がないというメリットがある。これはすごく大きい。

なお警告したことによるデメリットはあるだろうか。例えば、警告を受けた企業が自分で調査して特許庁に拒絶とすべき資料を情報提供する可能性はある。しかし、それは問題ないというか、むしろ望ましいと思う。無効理由のある特許を手にしても意味がない、それどころか、その特許を得たことに喜んで(無効理由があることを知らないで)特許侵害訴訟をしても負けてしまって多額の訴訟費用を出しただけという最悪の結果になってしまうだけだからだ(中小企業の場合は不完全な審査による無効理由のある特許でも、会社の広告宣伝に使えるというプラスはあるだろうが、事業をしていないただの個人にはそれはない)。

なお、この警告書は、もしそういう相手が居ればだが、出願公開後のなるべく早い時期に送っておく方がよいと思う。なぜなら、一般に出願中には何回か補正が行われ、補正をしていくに従って特許請求の範囲はだんだん狭くなっていくが、そういう減縮の補正をするときは改めていちいち警告をやり直す必要はないというのが判例であり、そうだとすれば、どうせ警告をするのなら、特許請求の範囲が広いままの(減縮補正する前の)早めの段階で警告を発していた方がよいと言えるからだ。

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