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2009年11月 6日 (金)

特許法の改正(不服審判請求の印紙代の返還)の件で民主党にメールしておきました

特許法の改正(審判請求の印紙代の返還)の件で、民主党にメールしておきました。
少し前にこのブログで2~3回記事にしてたのをまとめた内容です。
民主党議員の事務所に電話して聞いてみたら、民主党本部にメールすればよいとのことだったので。以下、その内容を転載しておきます。少し長い^^;

民主党の特許庁(経済産業省)関連のご担当者様へ
(中略)
提案タイトル:特許法の改正に関する提案(特許法で定める拒絶査定に対する不服審判請求の特許印紙代は、審査官による拒絶査定が不当だったことが審決や判決で判明した場合は、出願人に返還すべきでは?)

はじめに
特許庁は、ちょうど今、2011年に特許法の大改正をすべく準備をしている最中です。そのための特許庁長官の指摘懇談会「特許制度研究会」を、1~2ヶ月に一回のペースで、行っています。
(http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toushin/kenkyukai/tokkyoseidokenkyu.htm)
この「特許制度研究会」は、知財高裁判事などを含むメンバーから成り、毎回、的確な議論が行われています。
つきましては、この私の提案に関しても、この特許制度研究会の俎上に乗せて頂き、法改正が妥当かどうかの議論に含めて頂くことを希望いたします。以下、本文です。

1. 特許出願に対して審査官が審査の結果として拒絶査定を出したときは、出願人としては、まだ特許を目指そうとすれば、不服審判請求をやるしかありません。しかし、特許庁に対して拒絶査定不服審判請求をやるとき、その特許印紙代は、例えば請求項の数が50個なら、「49,500円+請求項の数×5,500円」の計算式から、324,500円となってしまいます。
通常の出願は請求項の数が5~10個くらいが多く、その場合は、不服審判請求の印紙代は10万円かそれ以下で済みます。しかし、請求項の数が50個くらいの出願も結構あり、その場合は、30数万円の特許印紙代を納付しなくてはなりません。
しかし、そもそも、特許庁審査官の拒絶査定という行政処分に対する不服審判請求について、何故、「常に」出願人側が特許印紙代を支払う必要があるのだろうか?という疑問があります。

不服審判請求をする場合というのは、
(a)審査官の処分が実際に不当であった場合と、
(b)審査官の処分は実際には妥当なのに出願人側が不当だと誤解していた場合と、
の2つがありえます(実際上は、私の感覚では、(a)が30%、(b)が70%くらいと思います)。

実際に(a)か(b)かどっちだったかは、後に、審判請求の結果である審決、又は、この審決に対する取消訴訟の判決(知財高裁による)などにより、はっきりと、判明します。
少なくとも、(a)のケースだった、すなわち、審査官の拒絶査定が実際に不当であった(審査官が妥当な処分をしていれば出願人は不服審判請求をしなくて済んだはずで、その印紙代も支払わなくて済んだはず)という場合は、特許庁は、審判請求の特許印紙代を出願人に返還すきべだと考えます。

そして、上記の(a)の場合とは、次の①と②の2つが満たされた場合と思います。
①「審判請求時の補正」が為されなかった場合(これと同視し得る場合をも含む。例えば、「審判請求時の補正」は行われたが、その補正の内容が「誤記の訂正だけ」で拒絶査定の理由とは関係の無い補正だったという場合など)。
・・・もし「審判請求時の補正」がなされたら、出願人としては、拒絶査定を一応は受け入れた(是認した)からこそ「審判請求時の補正」をしたのだろうと考えられても仕方ないから、「印紙代の返還」を主張することを放棄したと考えてもよいと思います。

②上記①の場合において、特許を認める審決が為されたこと、又は、審判の中で審判官が(拒絶査定のままでは拒絶を維持できないと判断して)「新たな拒絶理由通知」を出願人側に発したこと。
・・・前者の特許審決が出た場合は、審判官が拒絶査定の誤りを正面から認めた場合だといえます。また、後者の「新たな拒絶理由通知」を発した場合は、審判官は、「拒絶査定は、仮にその拒絶という方向性が正しいとしても、拒絶査定の理由やそれまでの手続が、拒絶を維持するものとして「不十分だった(その限りでは妥当でなかった)」と判断した場合だ、と言えます。

そして、上記①及び②の条件を満たす場合は、「審査官による拒絶査定が妥当でなかった(もし拒絶査定が正当なものだったら、出願人は、不服審判請求を行う必要は無く、その印紙代を支払う必要もなかった)」というケースに当たると確定できるので、その場合は、その審決(上記①の場合は特許審決だけだが、上記②の場合は特許審決の場合と拒絶審決の場合との両方あり得る)の中で、印紙代の返還させるために、その審決の主文の中で、(本件は審査官の審査内容が不当であり本来は審判請求は必要なかったケースなので)印紙代を返還する。という文言を入れればよいと思います。

民事訴訟でも、裁判所が出す判決の主文の中に「訴訟費用(印紙代など)は(敗訴した)被告の(又は敗訴した原告の)負担とする」という文言が入りますが、それと同じ方法で可能です。特許法の改正だけで済むと思います。

2. このような意見に対しては、審判は「続審」(発明が特許されるべき否かを審理対象とするのであって、審査官の行政処分が妥当か否かを直接の審理対象とするのではない)であるから、理論的におかしいという反論があり得ます。

 これについて考えますと、まず、審判が「続審」である(この点で、「審決の当否(審決が妥当か否か)」を対象とする審決取消訴訟とは異なる)という実質的な意味は、出願人側は審判請求のときに権利化に向けて補正ができるし、審判官側も審判中に補正の機会を与えるための拒絶理由通知が出せる、ということです。
 しかし、「審判請求時の補正」がない場合は、審判は、実質的には、「拒絶査定の当否(拒絶査定が妥当か否か)」が対象になっています。したがって、少なくとも、この場合は、「続審」であることは問題にならず、「審決の当否(審決が妥当か否か)」を対象とする審決取消訴訟と同じに考えてよいと思います。

3.  また、そもそも、世間では、「ユーザーの責任で故障した商品の修理は有償とする、しかし、メーカーの責任で故障した不良品の場合の修理は無償とすべき」というのが常識です。
 それなのに、特許庁の取り扱い(現在の特許法)では、「ユーザー(出願人)の発明がもともと進歩性などがないために出された拒絶査定に対する不服審判請求は有償とする(ここまで私も当然と思います)、それだけでなく、審査官の審査内容に不備があったために出された拒絶査定(不良品)の場合でもその修理すなわち不服審判請求は有償とする」としている訳です。これは世の中の常識に反しています。「世の中の常識に反する法律」は改正する必要がある、と思います。

4.  行政処分に対する不服審判請求の制度は、税務署や公正取引委員会にもありますが、いずれも、官庁に支払う印紙代などは、全く必要ありません。例えば、独占禁止法52条は、公正取引委員会の処分(排除措置命令と課徴金納付命令)に対する審判請求を定めているが、所定の審判請求書を出すだけで、印紙代などは必要ありません。

では、なぜ、特許庁の処分に対する不服審判請求だけ、印紙代が必要だとしているのでしょうか。それは、おそらく、特許庁の仕事は、最初に出願人が出願という積極的なアクションを行って(イニシアチブをとる。このときも印紙代が必要)、それに対する応答として審査官が審査の処分を下すという構造をとっているため、拒絶査定不服審判請求の段階でも、漫然と「常に」印紙代が必要だと定めているのだろうと思います。

これに対して、税務署や公正取引委員会の処分は、国民の側から最初に役所に積極的に処分を要請するのではなく、役所の方が勝手に(イニシアチブをとって)国民に対して行政処分をするのであるから、それに対して国民の側(国民から見ると不当な行政処分の被害者の側)から不服審判請求をするためには印紙代が必要だとすると、国民は怒り狂うでしょう。

そういう違いがあるのだろうと思います。

5.  特許庁の拒絶査定不服審判請求の費用は、民事訴訟の裁判と似た構造だと思います。裁判でも、最初にアクションを起こす(イニシアチブをとる)原告が、まず最初に印紙代を裁判所に支払います。しかし、裁判では、原告と被告とのいずれか負けた方(つまり不当であるとされた方)が、最終的に印紙代などの訴訟費用を負担することになっています(判決の主文でそれも定める)。つまり、印紙代は、最初に原告が支払うが、それは「仮の支払い」であって、裁判で負けた側(悪いことをしたか間違った判断をしていた方)が、印紙代を最終的に負担することになっています。

この裁判における印紙代の支払い義務の分配は極めて妥当・公平と思いますが、そうだとすれば、特許庁での不服審判請求でも、審査官の処分と出願人側の判断とのどちらが正しいかを争うのだから、負けた方がその費用を負担するのが妥当・公平のはずです。よって、不服審判請求で出願人が勝ったとき(ただ、「審判請求時の補正」をしてから勝った場合は審査官の審査は妥当だったという場合も多いので、その場合は、「審判請求時の補正」がもしなくても出願人が勝っただろうと言える場合だけ)は、負けた側つまり不当な処分をした審査官の側(特許庁)が印紙代を最終的に負担すべきだから、特許庁は、最初に出願人が仮に支払った印紙代(審判請求の費用)を、出願人に返還すべきだと思います。

また、こうすることによって、特許庁の審査官に、適正な審査を行う方向の「動機付け」を与えることが可能になります。

6.  なお、もし、このような審査が不当であつたために不服審判請求の印紙代を出さねばならなかったことが審決で判明したときは出願人に印紙代を返還するという制度にするときの技術的な方法としては、審判請求の印紙代については審判請求時には特許庁は「預かり金(供託金)」として出願人から受け入れておいて、審決で審査官の審査は正当だったと確定した段階で国庫に帰属させるという方法が妥当ではないかと思います。(印紙代は、いったん国庫に帰属させると返還の手続が大変なようですので、このように考えました)

7.  それから、もし、このような「印紙代の返還」が制度化されれば、印紙代の返還をも視野に入れる出願人側としては、拒絶査定を受けた後に不服審判請求をするとき、補正をしても余り意味がないと思えるときは、「審判請求時の補正」をしないで不服審判請求だけをするというケースが増えるでしょう。それは、不服審判の事件を、前置審査(拒絶査定をした審査官が関与するもの)を介さずに直接に審判官のところに持っていくことになるので、不服審判のためのトータルの期間や手間を短縮・軽減させることに繋がるという制度上のメリットがあると思います。

8.  他方、こういう「印紙代の返還」の制度を作ると、審査官が(印紙代の返還に繋がる拒絶査定を避けて)萎縮して安易に特許査定を乱発するようになるのではないかというデメリットが考えられます。これに対しては、審査官が自信を持って拒絶査定ができない(しかし特許査定もおかしいと感じている)ような難しいケースについては、例えば、(a)審判と同様に3人の審査官のチーム(合議体)で審査するようにする、(b)審査官の裁量で上級の審判官に事件を移したり、審査官が担当したまま審査官が上級の審判官の意見を聴取できるようにする(侵害訴訟の中で裁判所が特許庁の意見を求める「求意見制度」と同じようなもの。できたら、出願人と審判官と直接のやり取りも認める)、などの対策で対処可能と思います。

最後に
以上の内容については、私の方にメールや電話などでお問合せ頂いても構いませんし、内容を公表されたり、コピー・改変されても構いませんが、下に書いています私の住所・氏名などの個人情報は、民主党様の外部に対しては秘密にして頂きますよう、お願い申し上げます。(以下略)

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