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2010年1月27日 (水)

小沢氏の虚偽記載での立件のハードルは高い

前々回(2010/1/25)のエントリで、次の毎日新聞 2010年1月25日の記事を引用した。

 外形的には石川議員や池田元秘書が虚偽記載を「報告」し、小沢氏が「了承」したようにも見えるが、最大のネックは小沢氏を含め3人とも「会計責任者」ではないことだ規正法は、正しい収支報告書の提出を会計責任者に義務づけている。当時の会計責任者は小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(48)=同=で、石川議員や池田元秘書は虚偽記載を大久保秘書に報告したと供述している。しかし、会計責任者ではない小沢氏は「大久保秘書と共謀したり明確に虚偽記載を指示したようなケースでなければ、単なる報告と了承で規正法違反に問うのは難しい」(ある法務・検察幹部)

もし仮に小沢幹事長が「個々の虚偽記載を知っていた」という供述があったとしても、小沢氏に、「会計責任者である大久保秘書との共謀や同秘書への指示・教唆・幇助」の事実が証明できなければ、政治資金規正法上、虚偽記載の罪の「共犯」として立件することは難しいということだ(次の条文)。

政治資金規正法違反の刑罰(5年以下の禁固・・・)は25条だが、「虚偽記載」の罪の内容は12条1項に記載されている。同法12条と25条の一部を次に抜粋する。

政治資金規正法12条と25条の引用

第12条 政治団体会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年12月31日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から3月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合(第20条第1項において「報告書の提出期限が延長される場合」という。)には、4月以内)に、第6条第1項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。
1.すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項
イ 個人が負担する党費又は会費については、その金額及びこれを納入した者の数
ロ 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間5万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日並びに当該寄附をした者が第22条の5第1項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨
ハ 同一の者によつて寄附のあつせんをされた寄附で、その金額の合計額が年間5万円を超えるものについては、その寄附のあつせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附のあつせんに係る寄附の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日 (以下、略)
第25条 次の各号の一に該当する者は、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
1.第12条又は第17条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかつた者
1の2.第19条の14の規定に違反して、政治資金監査報告書の提出をしなかつた者
2.第12条、第17条、第18条第4項又は第19条の5の規定に違反して第12条第1項若しくは第17条第1項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかつた者
3.第12条第1項若しくは第17条第1項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者《改正》平19法135
2 前項の場合(第17条の規定に係る違反の場合を除く。)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、50万円以下の罰金に処する。」

この条文によると、「虚偽記載の罪」は、犯罪の主体が「会計責任者」(この場合は大久保秘書)に限定される身分犯のようなもので、他の者はその「共犯」となることができるに過ぎない。 だから、会計責任者に「虚偽記載」の犯罪構成要件と故意があって犯罪が成立しないと、他の者はどんなに悪性のある行為をしていたとしても、無罪のままなのだ。なぜなら、「正犯」が居なければ「共犯」は成立しえないから。

追記(2010/1/30): 上の記載については間違っているようなので、取消線を入れておきます。次の読売新聞の記事では、会計責任者ではない事務担当者も、「共犯」ではなく「正犯」として起訴されています。政治資金規正法12条のみを見ると、虚偽記載・不記載の罪は「会計責任者を主体とする罪」のようですが、同法25条は、誰でも罪の主体になる書き方をしています(上記の条文を参照)。

「12月24日14時29分配信 読売新聞 偽装献金、首相は嫌疑不十分で不起訴

 鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金事件で、東京地検特捜部は24日、同会の事務担当者だった勝場啓二・元公設第1秘書(59)を政治資金規正法違反(虚偽記入)で東京地裁に在宅のまま起訴した。

 会計責任者だった芳賀大輔・元政策秘書(55)(現・私設秘書)については、同法違反(重過失による虚偽記入)で東京簡裁に略式起訴し、同簡裁は同日、罰金30万円の略式命令を出した。」

新聞報道では、今のところ、大久保秘書の供述はほとんど出ていないが、大久保秘書は「二度目」だから、検察の手口には「耐性」が出来ているだろうから、検察の口車に乗ってベラベラしゃべることはないだろう。

とすると、会計責任者である大久保秘書を「虚偽記載の正犯」として立件できるかは、かなり難しいのでは?

その意味で、小沢氏はもちろん、石川議員や元秘書についても、立件のハードルは相当高いのでは、と思う。

2010/1/26毎日新聞http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100126ddm041010004000c.htmlの「公判中の西松建設の違法献金事件で検察側は、会計責任者だった大久保秘書を会計事務の「統括者」と位置づける。今回も同じ陸山会を舞台にしており、石川議員、池田元秘書と、大久保秘書との共謀関係の立証は必須。ある法務・検察幹部は「特捜部はまず足元を見て捜査してほしい」と話している。」という記事内容も同じ趣旨だろう。

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