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2010年2月20日 (土)

検察審査会が「起訴相当」の議決を出す場合とは

前回のエントリではいろいろな方からコメントを頂きました。ありがとうございました。これらのコメントでの議論などを踏まえて、検察審査会が「起訴相当」の議決を出す場合とはどのような場合か、について僕の考えをまとめておきたいと思います。

1 僕は、証拠に関する判断は、社会常識によるので、検察官の判断と国民(検察審査会)の判断とで、基本的に大きく違うことにはならないと思っています(後述の2のように、少しは違うとは思いますが)。

むしろ、大きく違うのは、「証拠からは起訴できそうだ(この点は検察官と検察審査会とで一致)が、起訴を猶予すべきかどうかの裁量」だと思います。検察は、検察や警察の内部の身内が告発されたとか、大物政治家については起訴猶予に傾く傾向があると思います(今回の小沢事件はその真逆でしたが^^;)。

証拠の評価は、社会常識によるので、「個々人」で違うのはほとんどなくて、「立場・役割」で違う場合が多いと思います。つまり、Aという人が弁護士の役割で特定の殺人事件について無罪だと証拠を評価していた場合でも、その同じAさんが今日から検察官の役割をしなくてはならなくなったとき、その同じAさんは、検察官の立場から、同じ証拠を有罪と評価するようになると思います。
それは、Aさんの「個人」としての実力とか性格からくる違いではなく、「立場・役割」からくる証拠評価の違いだと思います。
そして、検察審査会のメンバーはみな、「検察官と同じ立場・役割」(検察官としてどう考えるべきかという立場・役割)に立つので、証拠の評価は、検察官のした評価と基本的に大きくは変わらないだろうと思います。

2 当初は僕は上記のように検察と一般国民とで常識の違いはほとんどないと思ってたのですが、阪口徳雄弁護士からコメントで、明石花火大会歩道橋事件を例に、検察官と一般国民とで証拠評価が違う場合もあると言われました。確かに、検察官という特殊な世界の人間と一般国民とでは、社会常識が違うこともあり、その結果として証拠の評価が違うこともあるのでしょう(これは、裁判員制度でも、裁判官の常識と一般国民の常識は違うだろうといわれていることと同じです)。

以上より、前回のエントリの考えを少し変えることにもなりますが、検察審査会で「起訴相当」の議決を出すべき場合とは、次のような3つかなと思います(今までの考えを変えた部分は次の②と③を付加したことです)。

①証拠の評価からは起訴できる(検察官もそう考えた)のに、被疑者が検察・警察内部の身内だとか政治家だとかの理由から、裁量で起訴しなかったと思われる場合(「起訴猶予」の場合だけでなく、形式的には「嫌疑不十分」だが「実質的な起訴猶予」ではないかと疑われる場合をも含む)

 ・・・検察リークや検察裏金などのような場合(検察官の身内が被疑者の場合)こそ、起訴するかどうかの方針について検察官と国民の常識の違いが現れる。

②検察官と一般国民の常識が離れているために証拠の評価が違っていると思われる場合(明石花火大会歩道橋事件はこれ?)

 ・・・実際にはあまり多くないように思います。また、捜査や起訴の「方針」という政治的レベルの判断に際しての常識は検察と国民とで大きく違うことはあるが、個々の事件における具体的証拠の価値という技術的なレベルでは、検察と国民、個々の個人の間でそれほどの違いはないし、あっても、大きな問題にはならない(基本的には個々人の能力の問題で、捜査や起訴・不起訴が政治的に行われたなどの問題ではない)と思えます。

③被疑者が検察・警察内部の身内だとか政治家だとかの理由から、捜査をまじめにやらず、そのために十分な証拠が集まらなかったのではないかと疑われる場合(明石花火大会歩道橋事件はこれ?)

 ・・・検察リークや検察裏金などのような場合(検察官の身内が被疑者の場合)こそ、起徹底的に捜査するかどうかの方針について検察官と国民の常識の違いが現れる。今回の小沢事件の捜査方針(石川議員の逮捕方針)についても検察の暴走を許した検察の常識は多くの国民の常識から乖離していた。

3 今回の小沢氏についてはどうでしょうか。

③はまずない(というか逆に狙い撃ちだった)、②もないと思います。①は、小沢氏と検察側で「裏の取引」があったとすれば可能性はあるけれど、おそらくないでしょう。

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コメント

一般国民の判断は、起訴相当という判断となりましたね。
11人の審査員中8人以上の賛成が無ければ、議決できないそうですので、圧倒的多数が起訴相当と考えたことになります。

一般国民の良識は、検察よりも厳しいようです。


以下、日経HPより引用

小沢氏は「起訴相当」 陸山会事件で検察審
2010/4/27 15:32 情報元 日本経済新聞 電子版

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E5E2E69F8DE0E5E2E6E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;at=ALL

民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件で、東京第5検察審査27日、政治資金規正法違反容疑で刑事告発され不起訴処分となった小沢氏について「起訴相当」と議決した。議決を受け、東京地検特捜部は小沢氏の刑事責任の有無について再捜査する。

国民から選ばれた検察審が小沢氏の刑事責任を問うべきだとの判断を示したことで、検察当局の対応に注目が集まるとともに、小沢氏の幹事長辞任などを求める声が高まるのは必至だ。「政治とカネ」の問題が国会で再燃し、鳩山内閣の行方や今夏の参院選結果にも影響を与えそうだ。

検察当局は原則3カ月以内に結論を出すことになっており、再捜査後も起訴しなかった場合に検察審が改めて「起訴すべき」と議決すると、裁判所が指定する弁護士が検察官役を務め、強制的に起訴することになる。
 (中略)
検察審は国民から抽選で選ばれた審査員11人が捜査記録などを審査する組織で、「起訴相当」議決には8人以上の賛成が必要。検察当局が再捜査後も起訴しなかった場合の起訴議決も8人以上の賛成が条件となる。

投稿: 一国民 | 2010年4月27日 (火) 17時48分

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