知財で有名な三村量一・元判事が弁護士に転進
知財で有名な三村量一・元判事が、最近、裁判所を退官して弁護士に転進されたらしい(2ヶ月くらい前、大手の長崎・大野・常松法律事務所に所属されたらしい)。
三村量一・元判事は知財では有名な判事で、特許判例百選にも収録されている「磁気リーダー事件」を初めとして、「電着画像事件」やその他の多くの有名な知財関係の判決書を書いて、知財関係では、最も将来を嘱望されていた人だった。判決だけでなく、いろんな場で、積極的に、ズバズバと歯切れの良い発言をされていた。そういう点では、良い意味で裁判官らしくない人だった。
それが、2004年の青色発光ダイオード職務発明事件の第一審(東京地裁)で、日亜化学に対して中村修二さんに200億円の対価を支払うよう命じる判決(2004年1月30日判決)を出した直後から、三村さんの判決をほとんど見なくなったような気がした(僕だけかもしれないが。※追記: 後で確認したら、2007年頃の知財高裁の審決取消訴訟の判決などでは三村さんの名前は何件かは出てくるようだ。しかし、三村さんの真骨頂は特許侵害訴訟であり、2004年の職務発明訴訟以降での三村さんによる侵害訴訟の有名な判決は、僕だけかもしれないが、見たことがない)。
当時は小泉政権の最盛期で、自民党と経団連が最も蜜月関係にあった時期だ。その頃に、職務発明の対価として200億円という経団連が腰を抜かすような判決が出たものだから、当時、経団連の幹部連中は、目を剥いてこの判決を非難・攻撃していた。
これらの経団連や自民党などからの暗黙の圧力が当時かなりあったのではという気がするのだが、まぁこれは僕の勝手な推測に過ぎないのかもしれない(一部訂正しました)。
要するに、まぁ何が言いたいかというと、司法部門に属する裁判所の事務方の官僚は、行政部門(法務省)に属する検察官僚と共に、行政改革の中では最後まで残る抵抗勢力となるだろう、ということだ。この辺の記事を、天木直人さんのブログで見たので、三村・元判事のことを思い出したのだ。
天木直人さんのブログより一部引用。
「官僚支配の最後の砦、最高裁事務総局を改革せよ
発売中の週刊プレーボーイ10月12号に、「日本の司法をダメにする最高裁事務総局の正体」という連載記事を見つけた。
これは衝撃的な告発記事だ。
さぞかし最高裁判所の司法官僚たちは今頃腰を抜かしてこの記事を回し読みしていることだろう。
全国に約3500人存在する裁判官たちの多くは、よくぞ書いてくれたと心のなかで喝采を送ってこの記事を読んでいるに違いない。
日本という国がここまで悪くなったのは、「もの言えば唇寒し」という風潮がいつのまにかどんどんと蔓延して しまった事にあると思う。
保身や出世のために、おかしいことや不正な事を、皆があえて口に出さなくなったためであると思う。
(中略)
官僚組織はどこの省庁も等しく反国民的なってしまった。しかしその中でも裁判所は正義を実現する最後のよりどころ であるがゆえに、その司法官僚組織が反国民的であればこの世はおしまいだ。
しかし現実は司法もまた反国民的になっている。
本来は「正義」と「法の支配」を唯一の判断基準として判決を下すべき裁判官が、保身や出世のために判決を 捻じ曲げざるを得ないのが現実だ。
そのように、裁判官の良心を捻じ曲げるような仕組みが、この国の官僚司法組織のトップによって作られているの。
それを告発したのが週刊プレーボーイの記事である。
裁判官は権力に不利な判決を書くと地方転勤させられる。昇給がストップさせられる。
おかしいじゃないか!憲法を守ろうとして国の政策の違憲性を判決しようとする裁判官が、左遷を覚悟で、あるいは 辞表を懐に入れて判決を下さざるを得ないなんて。
最高裁の顔色をうかがうばかりの「ヒラメ裁判官」が日本の裁判所を覆ってしまうなんて。
いまこそ鳩山民主党政権は、官僚支配の最後の砦である 最高裁事務総局という名の司法官僚たちを粉砕しなければならない。
この週刊プレーボーイの記事がそのきっかけになる事を私は期待する。」(太字は当ブログによる)
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