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2008年7月の2件の記事

2008年7月26日 (土)

アイデア社長

ここ数年、音信不通なのだが、忘れられない発明家がいる。

その人、Aさんとは、12~13年前に、ある発明の会合で知り合った。そのとき、Aさんは地方のある中堅企業の総務部長だった。僕より10歳以上年長だったので、当時は今の僕と同じ50歳前後だったろう。とにかく、Aさんは多弁で派手な人で、いつも周りに人が集まるというか、いつも周りを巻き込んで何かをやるという感じの人だった。

僕は発明には2種類あると思っている。駅前のラーメン屋タイプの発明と、山奥の料亭タイプの発明とだ。つまり、多くの企業から沢山の発明が出てくる分野の発明(競争が激しいので出願しても特許は難しい発明)と、誰も注目していないし誰も事業化しようとしないニッチの分野の発明(競争がないので出願すれば特許になるが多くの企業は事業化しようと思わない発明)との2つだ。前者を狙うのが過去ログで述べた個人発明家のビジネスモデルの2番目のものだ。

Aさんは、この2種類の発明の双方をよくしていた。駅前のラーメン屋型の発明は当然ながら、調べたら既に沢山の出願が出ていてダメだというものだった。しかし、Aさんの特徴は、山奥の料亭型のような、誰も目指さないような分野のすごく変わった発明をよくすることだった。誰も注目しないような発明をする。どうやって考え付いたのかと聞くと、「寝てるときに夢に出てきた」とか言う。いくら変人が多いという発明家でも、そういう、夢などから発明するという人は少ないと思う。

それと、Aさんの特徴は、多くの発明家と異なって、話が巧みで人を使うのが上手いということだった。発明家の多くは、僕もそうだが、多弁な人は多いが、変り者と見られてしまったりして人を使うのは苦手な人が多いような気がする。

それで、Aさんは、50歳頃、会社を辞めて、同僚や部下を何人か連れて別の会社を作って社長になってしまった。Aさんは、貫禄があり、自己顕示欲も強く、「社長」にはぴったりの人だった。しかし、Aさんは、それまでの会社で「総務部長」をやっていたように、「金を稼ぐ技術」は無かった。大企業なら「社長」だけでよいかもしれないが、中小企業の社長は、「マネジメントをやる社長」だけではダメで、「プレーヤーとして金を稼ぐ技術」をもってなくては会社を維持していけないと思う。

当初は、いろんな人を巻き込んでいろんなことをやっていたが、直ぐに別のことを始めたりして、うまく行ってないようだった。Aさんは、「社長」をやりたかったらしい。それと「個人発明家」として成功したかったらしい。しかし、「社長」はうまかったが、「金を稼ぐ」ことができなかった。部下にもその能力が無かった。会社を作って3~4年はいろいろやっていたが、そのうち、会社の金が廻らなくなって、借金もして、夜逃げ同然で他県に転居してしまった。

僕とは個人的に親しかったのだが、いつ転居したかも知らなかった。でも、そのうち連絡があるかなと思っていたら、転居後1年くらいして連絡が有った。詳しいことはよく分からないが、借金はあったが転居前に住んでいた自宅(空き家)はまだ保有していて、たまに郵便物などを取りに戻っていたらしかった。

それで、新しい住所でも、周囲の人を巻き込んで発明の試作などをしていると聞いた。まあ、苦労したからか、かなりやつれて年を取った感じはあったが、相変わらず頑張っているなと思った。

その後、Aさんとは3~4年の間に数回合ったのだが、その後、今から数年前から、バッタリと音信不通になってしまった。住所も知らない。

今では付き合いは無くなったが、Aさんとの付き合いはトータルでは7~8年になると思う。知り合った当時、僕は、Aさんと、最近こういう発明をしたとか、それならこうした方がよいのでは、などの発明談義やバカ話をするのが、すごく楽しみだった。Aさんもそうだったろうと思う。Aさんと話してて、僕は(社長をやっているAさんが僕のことを発明家として認めてくれているようなので)発明家としてやってみようかなと思い始めたのだ。その意味では、恩人の一人だと思う。

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2008年7月21日 (月)

拒絶理由通知と拒絶査定で大変

今、特許庁から、拒絶理由通知が9件と拒絶査定が3件、同時期にきてて、大変です。

拒絶理由通知の9件の中、7件は、互いに関連の出願でして、それを審査官は一度に拒絶理由通知を送ってくるのですね。この7件の拒絶理由通知の中身は、80%コピペでした。

しかし、今ほかのことも手一杯で、今月下旬の期限には間に合わないので、期間延長申請をして1か月の応答期間(補正書・意見書を提出する期間)の延長を申請するしかない、という状況です。1件当たり2,100円かかるので、7件だと14,700円というのは痛いです。

拒絶査定の方は期間延長はないので、不服審判請求のみは拒絶査定から30日内の期限内にやって、補正は審判請求から30日以内、理由補充は2-3ヶ月くらい遅れてもOKらしいので、後回しでいいようです。

それにしても、不服審判請求は請求項1個の最低でも55,000円かかり、請求項1個増えるごとに5,500円プラスというのは高すぎると思います。拒絶査定が正当なものなら仕方ないですが、中には不当としか思えない拒絶査定もありますので、そのために出願人側が印紙代を負担するのはおかしいと常々感じています。不当な拒絶査定であると判明した後に、「不当な拒絶査定により、もともと支払う必要の無かった印紙代を、支払わざるを得なくなった」として国家賠償請求も可能かもしれませんが、訴訟をするには額が小さすぎます。

出願審査請求も高いですね。こちらは、可能ならば(自営か会社の場合)、研究開発費を売上げの3%以上確保するようにして、その上で、減免申請をして出願審査請求を半額にするのがベターでしょうね。

このように、弁理士費用が高いのは別としても(僕は明細書は自分でやっています)、印紙代もバカになりません。特許庁は独立会計で、今、金は余っているようで、その金を使うために、いろんな研究会などを立ち上げてはいろんな施策をどんどんやっているという面もあるようです。

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